世界中に広がるサイバー攻撃、日本企業は大丈夫なのか:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
世界的に発生する大規模なサイバー攻撃が大きな話題になっている。米国の首都ワシントンDCの警察も被害を受けたわけだが、日本企業は大丈夫なのだろうか。
日本で驚くべきニュース
この流れは国境を超えてトレンドになっている。例えば、先日もアイルランドの病院にITサービスを提供する保健サービス局(HSE)がランサムウェア攻撃に遭ってシステムが停止。各地の病院で、治療中のカルテが見れなくなったり、新型コロナの検査ができなくなったり、がんの治療や妊婦のケアなども行えなくなった。アイルランドの政府関係者は、この攻撃がアイルランドで「史上最悪のサイバー攻撃」だとメディアに述べている。
ちなみに病院を襲うサイバー攻撃は、米国のほかに、英国、ドイツ、フランスなどでも起きている。ドイツの病院では昨年、ランサムウェアの攻撃で治療を受けられなくなって死者も出ている。
ただサイバー攻撃は、金銭目的だけではない。知的財産や企業秘密などを盗もうとする攻撃者もいる。特に、中国の政府系ハッカー集団がそういう攻撃を多くやってくる。
知的財産などを盗む行為は犯罪を超え、スパイ工作の域に達し、安全保障の問題となる。これも現在、世界中で大きな問題になっている。
世界中が「荒野」のようになっているなかで、これまでの日本政府は攻撃者に対して断固たる姿勢を見せてこなかった。しかし、先日、驚くべきニュースがあった。以下は、4月20日付のNHKの報道だ。
「JAXA=宇宙航空研究開発機構や防衛関連の企業など日本のおよそ200にのぼる研究機関や会社が大規模なサイバー攻撃を受け、警察当局の捜査で中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団によるものとみられることが分かりました。
警視庁は、日本に滞在していた中国共産党員の男がサイバー攻撃に使われたレンタルサーバーを偽名で契約したとして、20日にも書類送検する方針です」
2016年〜17年に、三菱電機やIHI(元・石川島播磨重工業)、慶應大学や一橋大学などが、中国人民解放軍の日本担当ハッキング部隊「61419部隊」の指示を受けた中国政府系ハッキング集団Tick(ティック)によるサイバー攻撃を受けた。それに協力した中国共産党員の男を、日本の当局が書類送検したという。
このニュースで何が画期的かと言うと、日本の当局が、中国共産党や人民解放軍の「61419部隊」を特定し、名指しをして、関与した中国人がすでに出国してしまっているにもかかわらず送検したことである。
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