ワクチン接種した人に抽選で1億円! 米国の“動き”は日本で受け入れられるか:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
新型コロナのワクチン接種が順調に進む米国で、接種率を高めるために、特典を付ける動きが活発になっている。日本では批判が集まりそうな内容だが、こうした仕組みは合理的なのか。それとも……。
新型コロナウイルスのワクチン接種が順調に進む米国で、接種率を高めるために、特典を付ける動きが活発になっている。日本では批判が集まりそうな内容だが、合理的な仕組みなので、ワクチンに限らず日本でも参考にしたほうがよいだろう。
あの手この手でワクチン接種を推奨
米国ではワクチン接種が進んでおり、米疾病予防管理センター(CDC)によると、2021年5月中旬の段階ですでに約半数の国民が1回のワクチン接種を受け、35%が2回目の接種を終えているという。ここまでくるとワクチン接種の効果が一気に発揮されるので、米国の新規感染者数は急ピッチで減少している。
バイデン政権は7月4日の独立記念日までに70%までワクチン接種を終えたいとしているが、5月以降、接種のペースに鈍化が見られるようになってきた。ワクチンに懐疑的な人が存在していることに加え、面倒で会場に行かなかったり、仕事の都合がつかなかったり、そんな理由で未接種の人が存在しているのだ。
米国は、消極的な人にもワクチンを接種してもらえるよう、あの手この手でキャンペーンを行っている。ワクチンが心底、嫌いな人はどうしようもないが、面倒でついつい接種しなかった人にもっとも効果を発揮するのは、やはりプレゼントである。
米国東部のニュージャージー州では、ワクチン接種を受けるとビールを無料で飲めるキャンペーンを行い、多くの人が接種後にビールを楽しんだ。中西部のデトロイトでは接種した人に50ドルのプリペイドカードを渡すという、事実上のキャッシュバック作戦を行っているほか、ニューヨーク州ではニューヨーク市を本拠とするヤンキースとメッツの無料観戦チケットを接種者に配っている。
極め付きは、抽選で5人に100万ドル(約1億1000万円)をプレゼントするオハイオ州だろう。100万ドルプレゼントの対象となるのは18歳以上だが、18歳未満の市民については、5人に州立大学の学費などに充当できる奨学金が与えられる。
1億円がもらえるかもしれない――。ということになれば、動きの鈍かった人も、接種会場に足を運ぶことが容易に想像できる。とにかく行政側としては、できるだけ多くの国民に接種してほしいスタンスである。
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