ワクチン接種した人に抽選で1億円! 米国の“動き”は日本で受け入れられるか:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
新型コロナのワクチン接種が順調に進む米国で、接種率を高めるために、特典を付ける動きが活発になっている。日本では批判が集まりそうな内容だが、こうした仕組みは合理的なのか。それとも……。
不公平であることはあまり問題視されていない
動きが鈍い人に対して、経済的なインセンティブを与えることは、ビジネスでは極めて合理的な方法であり、日本でもポイント付与などのキャンペーンを行う企業は多い。だが、行政の施策でこのようなキャンペーンを行えば「不公平だ」との批判が出てくる可能性が高く、実施は難しいだろう。
米国でも特典を付けることへの批判は出ているが、その内容は「不公平」であることを問題視するのではなく、特典付与が最終的にワクチン証明などにつながり、ワクチンを打ちたくない人の権利が侵害されるという人権上の論点や、税金の効果的な使い方として適切ではないといったものが多いようだ。
なかなか接種しない人に特典を付けることは、合理的に考えればそれほど不公平なことではない。
ワクチンをまだ接種していないということは、その人はまだ感染リスクが高いことを意味している。ほぼ全員がワクチンを接種し、ごくわずかな人だけがそれにタダ乗りして接種しない状況になれば、打たない人が得するかもしれないが、現時点では先に打った人のほうが圧倒的にメリットが大きい。
実際、ワクチンの接種が遅れている日本では、皆が先を争って接種を望んでおり、一部の有力者は不当な圧力を自治体に行使し、自分だけ優先接種を受けている状況だ。
つまりワクチンをなかなか打たなかった人は感染リスクを負っているので、その人に特典が与えられても、ほとんどの国民は不当に利益を得たとは感じない。むしろ消極的な人がワクチンを打ってくれれば、自身の感染リスクも減るのでむしろ好都合だと考えている可能性が高い。
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