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DXで先端を走るりそなHD 南昌宏社長が展望する「リテールトップへの道筋」りそなHD南昌宏社長インタビュー【前編】(3/5 ページ)

りそなホールディングスがDXを積極的に導入して銀行改革を大胆に進めている。南昌宏りそなHD社長のインタビューをもとに、りそながデジタル時代を先導してどこに向かおうとしているのかをお届けする。前編は、リテール(中堅・中小企業+個人向け金融)ナンバー1の実現に向けた銀行改革の流れを振り返る。

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アプリは360万ダウンロード

 そのかいあって、アプリの利用者数は順調に増加、南社長は「グループで3月末現在で約360万ダウンロードされている。アプリの利用回数は店舗に来られる回数より多くなっている。このアプリにより、これまで得られなかったお客さまとの新しい接点を持つことができた。24時間、お客さまとつながっているという意味は大きい。

 いまは普通預金だけでなく、定期預金、外貨預金などの取引もインターネットででき、手のひらに銀行の支店があるイメージだ。月間アクティブユーザーの84%がこのアプリを使ってくれている」と話し、アプリの利便性と新たな可能性に手応えを感じている。

 スマホを起点とした銀行の新しい個人向けビジネスモデルが当たり前になりつつある。キャッシュレス社会が加速すれば、買い物やタクシーに乗るのもスマホで決済できるようになり、現金を使わなくてよくなる。そうなればますます、銀行の支店やATM(現金自動預払機)に出向く必要はなくなるのだ。りそなの動きはこの変化を先取りしようとしている。

事務ミッションの「解放」

 南社長は「デジタルの技術進歩により、銀行業務のバックヤードの事務を担ってきた1万人以上のミッションを解放することができる」と指摘したが、この『解放』という言葉の意味は大きい。銀行の支店窓口には最前列に窓口担当がいて、その後ろにその日の出納業務を点検、確認する行員がいる。さらにその後ろに最終的なチェックをする行員が控えるなど、お金を取り扱うことに人手が掛かっていた。

 この事務処理の大半を機械が処理してくれれば、こんなに楽なことはない。数十年前に銀行の支店は、その日の出金と入金取引が1円でも合わないと、合致するまで行員が家に帰れなかったというのは、遠い昔の笑い話になった。

 「解放」された行員については「お客さまと話し、相談活動をする側に回ってもらうと同時に、新しいビジネスの担い手になってもらう」と述べ、新しい時代に向けて経営資源をシフトする動きが既に始まっている。

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