元電通マンが島根で農業を志す理由 「実質リストラ」炎上の業務委託、当事者の“今”:「八方ふさがりからの脱出」(1/3 ページ)
電通を退職した社員が、業務委託契約を結ぶ──このプロジェクトに対し、ネット上で「体の良いリストラではないか」との批判が巻き起こったのが1月のこと。それから約5カ月が経過し、実際に退職したは今、何を思うのか。5人に話を聞いた。
電通を退職した社員が「プロフェッショナル・パートナー」としてニューホライズンコレクティブ(以下、NH)と業務委託契約を結び、継続して一定量の業務委託を受ける──このプロジェクトの発表に対し、ネット上で「体の良いリストラではないか」との批判が巻き起こったのが1月のこと。
それから約5カ月が経過し、実際に退職した元電通社員・現NHメンバー(正式にはプロフェッショナル・パートナーだが、現場ではこの呼び方が定着している)は今、何を思うのか。記者発表会に登壇した5人のメンバーの話を聞いた。
「窮屈さからの解放」「伝統文化を発信したい」──それぞれの理由
データやテクノロジー領域で活躍してきた佐伯愉氏がNH参加を決めたのは、もともと転職意向を持っていたためだ。「そろそろ転職しようかなと思っていたところでNHの企画があり、2回くらいクリックすればいけたので」と語る。企業勤めならではの「窮屈さ」を肌で感じており、解放されたかった。また、データやテクノロジーは産業・分野を超えて使われていることから、自分自身も幅広く、産業を超えていきたいとの思いもあった。NHとしてもデータやAIの領域に取り組みたいとい考えている。
NHメンバーの中でも、「ほぼ最年長」にあたるのは新倉昭彦氏。電通には新卒で入社してから37年弱勤めてきたが、役職定年のある50歳前半からキャリアについて悩み、雇用継続するか迷った末、NHを選んだ。現在は、電通の営業局やNHアカデミー部門にも携わっている。今後は「金も、暇も、体力もある」NHメンバーでできる社会貢献活動を模索していきたいという。
長尾千登勢氏は、電通時代は日本企業の海外発信をクリエイティブPR領域で担当していた。現在は法人を立ち上げ、日本の伝統文化の海外発信に取り組んでいる。伝統文化のクライアントは中小企業で、電通ではクライアント登録できないこともあった。プライベートでは子どもが大学生になり、手が離れるタイミングだったことも後押しし、地方・中小企業のサポートをしたいと考えNH参加を決めた。現在は、スマホで能を鑑賞するプロジェクトや、和菓子をデジタルで転送して食べる「サイバー和菓子」などに取り組んでいる。
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