コラム
低迷が長く続いていたのに、なぜ車いすに乗った「バービー」が売れているのか:前年比16%増(1/5 ページ)
米マテル社のバービー人形が売れていることをご存じだろうか。90年代半ばをピークに、その後は売り上げが低迷していたにもかかわらず、なぜこのタイミングで“復活”したのか。背景には同社の戦略があって……。
コロナ禍でビジネスが好調なブランドとして、動画配信サービスのNetflix(ネットフリックス)やNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)などと並び、密かに注目されている商品がある。米マテル社のバービードールだ。日本では「バービー」として知られる、あの人形だ。
ブロンドヘアに青い瞳、驚異的なプロポーションのボディラインを持つバービードールは、「理想的な美の象徴」として良くも悪くも社会に影響を及ぼしてきた。
かつて米国では、3歳から11歳までの女児の95%が最低でも1体のバービードールを所有している時代もあったが、非現実的な容姿から批判の声も多く、消費者離れが加速して長い間ビジネスが低迷していた。
ところが、コロナ禍でバービー関連のビジネスが爆発的に伸び、2020年の売り上げは前年比16%増と近年まれに見る成長率となったようだ。
もちろん、新型コロナウイルスの影響でレジャー施設が休業したり、子どもたちの遊ぶ場所が制限されたりしたことで、定番のオモチャが売れているのもある。しかし、なぜあれほど人気が低迷していたバービーが、復活できたのか。
その理由は、もちろん単なる偶然だけではない。近年マテル社がビジネスを巻き返すために試みてきた、ブランド戦略が功を奏しているようだ。その成功の影には、かつての栄光を失ったブランドが、いかに時代の変化に対応すべきかヒントが隠されている。
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