低迷が長く続いていたのに、なぜ車いすに乗った「バービー」が売れているのか:前年比16%増(4/5 ページ)
米マテル社のバービー人形が売れていることをご存じだろうか。90年代半ばをピークに、その後は売り上げが低迷していたにもかかわらず、なぜこのタイミングで“復活”したのか。背景には同社の戦略があって……。
デジタルを強化するメリット
マテル社も、ターゲットである子どもとつながるため、YouTubeのオフィシャルチャンネルを通じて、さまざまなコンテンツを配信している。
バービーのオフィシャルチャンネルでは、メイクアップの仕方といったベーシックなものから、親子で楽しめるアートやクラフトのDIYなどが紹介されている。また、最近ではコロナ禍での過ごし方などのアドバイスや、時には難しいトピックにも触れている。
そのコンテンツの一つが、20年に米国で起こった「Black Lives Matter」運動に関する内容だ。動画の中で、バービーは黒人の女友だちのニッキーをゲストとして招待し、人種問題についての体験談を取り上げたのだ。その内容は、普段、大人がなかなか言えないことを代弁していると、ソーシャルメディアで話題になった。(参照リンク)
また、デジタル部門の強化として、動画のほかに力を入れているのはゲームだ。近年、女子の間でもゲームが人気となっているのを察した同社は、18年にバービーのアクセサリーとして人気のドールハウスをゲーム化した「Dream House Adventures」というアプリをリリースした。
このアプリでは、ドールハウスの部屋を好きなようにデザインしたり、キャラクターの服を着替えさせたり、デジタル上で遊ぶことができる。そのゲームがコロナ禍で再注目され、ダウンロード数が7100万を超えるヒットとなった。
このようにデジタルの分野は、さまざまな可能性を秘めているため、企業にとって投資すべきチャンネルになっている。同社の場合、デジタルでのプレゼンスを強化することで、バービーのイメージを現代に合ったものにアップデートすることに成功している。
さらに、デジタルを強化する最大のメリットは、オンラインストアでの売り上げにつながることだ。特に、同社は17年の米トイザらスの破綻によるダメージを経験しているため、Eコマースの重要性は痛いほど理解していることも役に立ったのかもしれない。
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