ハラスメント専門家から見た、リモハラの境界線:上司の悩み(1/3 ページ)
もはやニューノーマルの代名詞ともなったリモートワーク。一方で社員と管理職間では新たなハラスメント論争「リモハラ」問題も起こっています。超大手官公庁や企業、中小零細サービス業界まで、危機管理の専門家としてハラスメント防止の伝道をしている筆者が解説します。
著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
1.コロナと企業業績の光と影
もはや会議と言えばオンラインミーティングが前提であり、対面しての会議をやっている企業の方が「例外」となったニューノーマル。センセーショナルなニュースで「コロナで就活氷河期再来!」などと脅すニュースを見て不安になった学生から、日本や世界の経済は破綻するのかと聞かれることがありますが、それはマスコミの煽りに過ぎません。
確かに旅行、飲食、小売サービスなど、コロナの大打撃を受ける産業が厳しい環境にあるのは間違いないでしょう。一方、オンラインミーティングのデファクトスタンダードともなったZOOM社は、対前年比売上300%を超える超絶決算をはじき出しました。
コロナワクチンのキープレイヤー、ファイザー社の決算速報では、2021年の売上が260億ドル、予想を70%以上超える見通しとのこと。コロナの影響下の産業においても、当然光と影の両方があります。
2.リモートワークが新たなハラスメント要因に
そのズーム。オンライン会議が定着し、自宅から会議アクセスする社員で「ハラスメントを受けた」という声が上がるようになりました。こんな例があります。
(1)一日に何度も進捗報告を求められ、作業監視がきつい
(2)会議中はもちろん、会議以外の時間も就業中はカメラをオンするよう命令される
(3)自宅、自室の背景について何か言われる
(4)会議参加時の私服について何か言われる
(5)リモート飲み会に誘われる
(6)自宅の他の部屋を見せるよう言われる
社員からは、リアル職務では起こらなかった、正にリモートワークが原因で発生した不快な事象をリモハラと訴える声があります。これらはハラスメントなのでしょうか。
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