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「最低賃金1500円」にガクブル! 労働者の“ものわかりのよさ”はどこからきているのかスピン経済の歩き方(5/6 ページ)

全労連が「全国一律で時給1500円が必要」と訴えたところ、労働者からは「それでも足りない」といった意見があった一方で、「反対」の声も多い。自分の生活が楽になるのに、なぜ反対するのか。その背景には……。

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経済成長をしていない国

 日本のメディアは戦前から、日本の国民性や日本社会のシステムを持ち上げるため、他国を下げる「愛国報道」を続けてきて、それは現在も基本的には変わらない。海外のことなど国内の人間はそこまで詳しく知らないだろと高をくくっているので、「韓国は賃上げで経済が崩壊しました」とか「欧州では医療崩壊が起きてます」などと極端な事象を切り取って、国民の留飲を下げるような情報に加工して拡散し、政治やメディアにとって都合のいい世論へと誘導するのだ。

 もちろん、このような話をしてもまだ「いや、経済は賃金を上げればいいという単純なものではない、悪いことも起きるのだ」といった人も多いだろう。


(写真提供:ゲッティイメージズ)

 ならば、おうかがいしたい。先ほども申し上げたように、日本はこの30年以上、平均賃金は横ばいだ。「一律で引き上げるのではなく、中小企業が成長をすれば自然に賃上げできる」という中小企業経営者の主張を、政治家も官僚も全面的に支持をして、50年以上も税金を費やして中小企業支援をしてきた。賃金をあげるからといった理由で、補助金もバラ撒(ま)いた。しかし、それが労働者の賃金として還元されることがなかったことは、日本の賃金水準が証明している。

 つまり、なんやかんやと理屈をこねて最低賃金の引き上げを先送りにしてきたことの結果が、「先進国最低の賃金と生産性」「先進国で唯一経済成長をしていない国」という今の状況をつくっているのだ。

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