「黒にんにく」で大手の下請けから脱却 家族との衝突やリストラを乗り越えた“逆転劇”:社長が語る(4/5 ページ)
大手メーカーの下請け事業で成長してきた宮崎県の会社がある。しかし、海外製品に押されて苦戦するようになる。新規事業として手掛けた「黒にんにく」を成長させた経緯を社長に聞いた。
差別化のために調味料も手掛ける
黒にんにくだけでは、競合他社に追従される可能性が高い。そのため、同社は調味料などの加工品も手掛けるようになった。
08年から黒にんにくを使った加工品(たれやドレッシング)の開発に乗り出した。原材料費が高いことや、量産が難しいことから値段は高めで、安い類似商品と比較されることもあり、当初は苦戦したこともあった。ただ、物産展や展示会などに積極的に出展することで、取引先と個人客を少しずつ増やしていった。
風向きが変わったのは12年に海外輸出を始めたことだ。当初は台湾からはじめて、輸出先を増やしていった。特に、米国を中心に販売する「グルテンフリー VEGAN黒にんにくうまみガーリックソース(PB)180グラム」は、同社のB2B部門で売れ筋2位にランクインする大ヒット商品となった。
ガーリックソースがここまで売れるようになった背景について、籾木社長は「米国のお客さまは、ごはんやパンにかけて食べているようだ。日本と比較して、『いいものだ』と思ったら値段を気にせず買う傾向が強いのではないではないか」と分析する。商品力を磨いてきたことが、多少高くても購入するユーザーに支持された形だ。
20年度における海外の売り上げは、19年度比で約3倍に増えた。輸出先はEU諸国やシンガポールなどにも拡大している。将来的には海外の売り上げ比率を5割に引き上げるのが目標だ。成長の源泉を海外に見いだそうとしている。
こうして黒にんにくと関連商品の販売が増えた結果、現在の同社の売り上げは下請け事業をしていた頃の実績にほぼ近づいてきたという。
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