コロナ禍で「銀のさら」絶好調 創業社長が語る“稼ぐ”仕組みとライバルが淘汰された背景:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
宅配寿司「銀のさら」が好調だ。創業社長は「ウーバーは脅威ではない」「宅配寿司が宅配ピザより難しい」と熱弁する。どういうことかというと……。
最初はサンドイッチで起業
ライドオンエクスプレスHDの創業は1992年。現社長の江見朗氏と、現副社長の松島和之氏がタッグを組み岐阜市内で創業した。
江見社長は1960年生まれ。名古屋大学、東京大学、京都大学などに毎年多数の生徒が合格する進学校・県立岐阜高校の出身だ。しかし、組織の出世競争に巻き込まれるのを疑問に思い、国内の大学へは進学せず、アルバイトで資金をためて、単身米国に留学する道を選んだ。
日本人しかできない寿司職人ならば、米国人の失業者を増やさないので簡単にグリーンカードがもらえると友人から聞いていた。生活費を稼ぐために寿司店に勤め始めると、意外にも水が合った。近所に住んでいたロックバンドのボン・ジョヴィのメンバーと、お店で親しくなって、ラスベガスのディナーショーに招待されるなど、飲食業の楽しさに目覚めた。
ロサンゼルスで7年半を過ごし、長男という事情もあって帰国。地元の割烹料理店に就職した。この頃、常連として通っていたショットバーで、松島氏と運命的な出会いを果たし、共に「サブウェイ」をベンチマークしたサンドイッチ店「サブマリン」を起業。創業前の松島氏は岐阜の婦人服アパレル企業で、社長代行として経営参画していた。
しかし、裏通りに引っ込んだ場所のお店だったので、集客に苦戦した。そこで、岐阜の繁華街である柳ケ瀬商店街や繊維問屋街に、台車を引いて商品を売りに行っていた。それでも足りず、サンドイッチの宅配を始めると、驚くほど売れた。30店ほどフランチャイズ(FC)展開するまで事業を伸ばした。ところが、サンドイッチは昼にしか売れず、夜に弱かった。そこで、寿司ならば宅配でも一日を通して売れるのではないかと考え始めた。
ある時、江見社長は以前から目を付けていた近所の宅配寿司が、ちょうど閉店して2トン半のトラックに機材を搬出している現場に出くわした。その場で店主と交渉して、宅配寿司を開業するのに必要な備品を運良く譲り受けた。江見社長は、この時に寿司ロボットの現物を初めて見たという。その店主から仕入などのノウハウも聞き出した。
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