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九州新幹線西九州ルート、並行在来線問題の解決と「幅広い協議」の行方:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)
佐賀県は、九州新幹線西九州ルートに関して開催された国土交通省鉄道局との「幅広い協議」で「フル規格にするなら3ルートを検討してほしい」と意見。その後、与党新幹線プロジェクトでの西九州ルートの検討委員会の報告、JR九州のコメントからは、フル規格の着工が予測されるが、現状、肝心の「建設の合意」ができていない。
佐賀県の3ルートは広域な利益のため?
そして佐賀県側から「フル規格で3ルート」という話が出た。歩み寄りに見えて、しかし同時に「フル規格に同意したわけではない」とする。どういうことだろうか。
佐賀県はずっとフル規格拒否という姿勢だった。しかし最近はすこし軟化して「幅広い協議」を求めている。すでに合意した「スーパー特急方式」「フリーゲージトレイン方式」のほかに、武雄温泉駅で対面乗り換えと決まった「リレー方式」の継続、そして「フル規格新幹線」「ミニ新幹線」だ。この5案について、もっとも佐賀県にとってメリットがある方式を決めたい。フル規格新幹線も候補のひとつであり、拒否ではなくなった。
しかし、現段階で佐賀県は「政府側の議論がフル規格前提で進めていて、その他の方式は検討が不十分」と考えている。
- 佐賀県内をフル規格で建設する費用と、すでにフル規格で作った線路を在来線軌間に戻しスーパー特急とする費用はどちらがよいか。
- フリーゲージトレインは最高時速260キロメートルで耐久性に難ありというけれども、実際に時速260キロメートルで走行できる区間が短いのであれば、最高時速200キロメートルであらためて耐久試験を実施してはどうか。解決策が見出せれば、フリーゲージトレインを再評価し、対面乗り換えを解消すればよい。
- フル規格で対面乗り換えを解消できるというけれども、佐賀県内の主要駅からはフル規格新幹線停車駅で乗り換えが発生するから、乗換駅が変わるだけ。全ての駅で対面乗り換えができるはずもなく、佐賀県内の利用者は不便な乗り換えを強いられる。
- フル規格のメリットとして、佐賀駅から山陽新幹線方面に直通できるというけれども、すでに佐賀県民は県内の新鳥栖駅を利用しており、山陽新幹線直通は実現している。新鳥栖駅は佐賀駅から25分程度だ。政府が言う佐賀県の山陽新幹線直通の利点は過大評価だ。
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