猫用おやつ「ちゅ〜る」はなぜ売れる? 飼い主も“やみつき”にする戦略に迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
猫のペットフード「CIAO(チャオ)ちゅ〜る」がロングヒット中。ラインアップも増えており、きめ細かいニーズに対応している。開発の背景は?
早くから米国とイタリアに輸出
いなば食品の歴史は、1805年に稲葉由蔵が、静岡県の焼津港に水揚げされたカツオを原料としてカツオ節の製造を事業化したことに始まる。幕末から明治にかけては、静岡県特産のみかんの集荷・販売で拡大し、早くも海外に輸出も行っていた。
昭和に入って、戦前の1936年に3代目作太郎が、今の本社所在地である静岡市の由比に缶詰工場、稲葉缶詰所を設立。マグロなどの水産物や果物の缶詰を生産し始めた。
戦後の48年、稲葉食品株式会社として再スタート。71年には当時、加工用ではほとんど使われていなかったキハダマグロに着目して、「いなばライトツナ」を発売した。ツナ肉のフレーク化と高速充填システムにより、マグロ缶詰の大量生産化に道を開いた。92年にいなば食品に改称している。
一方で、58年からペットフードに進出して、主に米国とイタリアに輸出していた。
いなばのペットフードの歴史は長く、しかもペット先進国の欧米に向けての輸出品から始まっていることに注目したい。ペットフードの開発でも、ツナ缶で培った技術力を背景に、世界で通用する先端的な商品を目指す社風が形成されている。
89年、「新鮮・愛情」をコンセプトに、国産キャットフードのプレミアムブランド「チャオ」が立ち上がった。97年、いなばペットフードが分社化され、母体の缶詰事業などと同様に、キャットフード、ドッグフードで、「真似しない、真似されない」をモットーに独自商品を磨いている。
2012年の「ちゅ〜る」の発売は、大きなインパクトをもたらしている。16年のグループ年商は300億円を超え、18年には500億円を達成している。20年度は700億円となっている。
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