社内で「こっそり録音」はアリかナシか 平井大臣の“恫喝”騒動:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
平井卓也デジタル改革相をめぐって、騒動が起きている。「恫喝」ともいえる発言が報じられたわけだが、会社の会議などで「こっそり録音」はアリなのか。「盗聴」ともいえるこの行為は……。
職場環境として健全なのか
昔のように盗聴器などを仕掛けるしか方法がなかった時代とは違う。誰もが小さなボイスレコーダーを持って、いざというときのために録音ができる時代になった。PCやスマホですぐに録音できるアプリもある。またペン型のものからUSB型までいろいろなレコーダーが存在し、しかもかなり長時間の録音が可能だ。
それが普通になれば、会話などもかなり息苦しい状況となる。会議などでも発言が減ったり、無難な話が増えたり、組織内のコミュニケーションがギクシャクするなど仕事の生産性にも影響を及ぼしかねない。そうなると萎縮してしまう従業員も出てくるだろうし、職場環境として健全とは言えないのではないか。
実は職場での録音問題は、日本特有のものではない。例えば英国でも数年前から問題になっていて、英雇用不服申立審判所(EAT)の見解では、職場で社員が勝手に録音などをする行為は、深刻なパワハラなどの事態を除いて、プライバシー侵害にあたる可能性があるという。雇い主が録音するのは、従業員の同意が必要になる。
米国では州によって関係者全員の許可なくして録音を明確に禁止しているところもあるが、自分も参加している会話や会議なら録音しても問題ないところも少なくない。
米国の事情を見ると、冒頭の平井大臣との会議での録音のような事態がトランプ政権時に話題になっていた。
元ホワイトハウスのスタッフだった女性が、ホワイトハウス内での会話を200件も録音していたことが2018年に明らかになった。そして、その中の内容などから書籍まで出版することに。機密情報が録音の中には含まれていないので違法性はない、という判断になっているようだが、政権スタッフが会議や会話を密かに録音していたことが大きな話題になった。
とにかく世界各地で手軽に録音する傾向はあり、オンラインなどでも議論になっているくらいだ。
日本では、グーグル検索で「ボイスレコーダー」と打ち込むと、「ボイスレコーダー ばれない」と予測語が出てくる。多くの人が検索しているということは、ばれないように音声を取ろうと考えている人たちが少なくないことが分かる。日本では会話などを密かに録音していても、そのこと自体は違法にならないという(企業などで取り決めがある場合もあるので要注意だが)。
コロナ後に仕事が通常通りに戻れば、また従業員同士のコミュニケーションが復活する。そうなるとレコーダーの需要はまた高まるかもしれない。
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