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AI与信解禁 メルペイに聞く「何が変わるのか?」(1/2 ページ)

4月に改正割賦販売法が施行され、AIやビッグデータを使った与信審査が解禁された。メルカリ子会社で決済サービスを営むメルペイは、これに対応を「AI与信」を提供する計画だ。しかし、もともとメルペイはメルカリの売買履歴データやメルペイでの決済データを用いて、与信を行っていたはず。法改正で何が変わるのだろうか?

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 4月に改正割賦販売法が施行され、AIやビッグデータを使った与信審査が解禁された。メルカリ子会社で決済サービスを営むメルペイはこれに対応し「AI与信」を提供する計画だ。しかし、もともとメルペイはメルカリの売買履歴データやメルペイでの決済データを用いて、与信を行っていたはず。法改正で何が変わるのだろうか?


メルペイCredit Designの信川享介取締役

年収や自宅の情報なしで与信上限が設定可能に

 メルペイが提供している「メルペイスマート払い」は、先に購入を済ませあとから支払う、いわゆる「後払い」サービスだ。2019年4月に翌月支払いの機能として提供し(当初の名称は「メルペイあと払い」)、20年7月には分割して支払いが行える「定額払い」を開始した。

 当初から、メルカリの売買、メルペイの決済データを元にした機械学習(AI)で利用できる上限額(与信枠)を設定していたが、「定額払い」からは分割払いになるため割賦販売法の対象となり、いくつかの制約が加わった。

 割賦販売法では、消費者が多重、多額の債務に陥ることを防ぐため、利用者の支払い能力の調査を行う義務を企業に課している。これを「支払可能見込額調査」といい、年収や世帯人数、預貯金、持ち家か賃貸かなどの情報に基づいて算出する。

 今回の法改正ではここが変わる。経産省の認定を取れば、「支払可能見込額調査の必要なく事業者が個々にリスク判断したもので与信をしていいと変わる」(メルペイCredit Designの信川享介取締役)わけだ。クレジットカードの申し込みや借り入れの際には、年収は? 持ち家の有無は? などのさまざまなことを記入しなくてはならなかったが、ユーザーとのこうしたやりとりなしに、与信が可能になる。

 しかし、以前から「メルペイスマート払い(定額払い)」ではそんな情報を入力しなくても使えていた。これはどういうことか。実は少額適用除外という仕組みが用意されているためだ。「与信額30万円以下の場合、少額適用除外という基準があって、信用情報機関の情報を用いた基準のみで与信をしていいとなっている」(信川氏)

 従来のメルペイスマート払い(定額払い)は、この仕組みを使っていた。だから、利用限度額の上限が30万円だったわけだ。

 まとめると、メルペイスマート払いは以前からAIを使った与信を行っていたが、上限枠は30万円に制限されていた。今回の法改正で、年収などの情報を取らなくても上限枠を上げられる道が開けたわけだ。

 ただし、現時点で引き上げに積極的というわけでもない。「まだ上限を30万円に引き上げて間もないので、今はその効果を検討している段階。これまでもメルペイスマート払いは、少額から提供し利用状況を見ながらお客さまに無理のない範囲で引き上げてきた。今後も慎重に進めていきたい」(信川氏)


メルペイスマート払い利用者数の推移(メルペイ)
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