ビフォーアフターで見る、本当にあった1on1失敗例 「部下の話を聞けない上司」編:典型的な1on1失敗例とは(1/4 ページ)
筆者が実際に見た、失敗する1on1の典型とは。そしてそれをどう改善すればよいのか。ビフォーアフターで成功する1on1、失敗する1on1を見てみる。
「現場マネジャーの部下マネジメントがうまくいっておらず、何とかしたい」――ある企業の役員から、このような相談を受けました。
「どうして、そう感じられているのですか?」と質問すると、その役員はこんな課題感を抱えているそうです。
- 上司の顔色をうかがい、自分の意思で発言するスタッフが少ない
- 入社時に能力がありそうで期待していた社員が、なかなか育ってこない
- いつも施策のアイデアがトップダウンで出され、現場から出てこない
このような社内の状況から、役員は「マネジャーの部下マネジメントに問題があるのではないか」と肌で感じていたようです。しかし現場での実際の部下マネジメントの様子は、役員からは見えづらく、不安が募っていたようでした。
この企業では、マネジメントの改善のために、上司と部下の定期的な面談をスタートさせたばかりでした。そこで筆者は「面談に同席することはできないか」と提案しました。役員は最初この提案に驚いていましたが、「現場で実際に起こっていることが見えるかもしれない」と、了承をいただきました。
その企業の社員数は約400人。そのうちマネジャーの総数は50人弱です。現場の拠点は、全部で10拠点あります。そこで、マネジャーと部下の1組につき、約1時間の面談を行うこととしました。ただ、あくまで主役はマネジャーと部下です。筆者は会議室の後ろで会話を聞くことにしました。
当初は「外部の人間がいると、本音が出ないかもしれない」との心配はありましたが、いざ面談が始まってみると、筆者の存在を忘れるほど真剣に話が始まりました。結果的に全社員の約4分の1の社員が交わすリアルな会話を見ることができ、現場マネジャーの部下マネジメントの課題が浮き彫りになりました。
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