連載
市場は7割減! “スーツ離れ”を断ち切ることはできるのか:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
スーツ市場が苦戦している。ピーク時(1992年)に比べて、販売数が7割ほど減少しているが、どうすれば回復することができるのか。筆者の窪田氏は……。
「制服スーツ」に注目
メリットは会社側にもある。実は今、多くの日本の会社は「社員の一体感がない」ことに頭を悩ませているのだ。
かつて日本企業は「大家族主義」を掲げて、社員の間に家族のような一体感を抱かせるため、社内運動会や忘年会などのイベントを重視していた。しかし、パワハラ、セクハラ、若者の酒離れなどのさまざまな問題から、このようなイベントに社員を強制的に参加させることが難しくなってきている。
終身雇用が崩壊して、かつてほど会社への忠誠心も薄れてきている。そこに加えて、コロナ禍によって社員同士のコミュニケーションまで激減している。PC画面上でしか会っていないまま、他部署へ異動してしまった同僚がいる、なんて話も珍しくなくなっている。
そこで注目されているのが、「ユニフォーム」だ。
実は心理学の世界では「ユニフォーム効果」という言葉があって、働く人が制服を着ることで仕事に対しての責任感を持つことや、モチベーションが向上して、職場の一体感を感じやすくなることが分かっているのだ。
ここまでいえばお分かりだろう、「制服スーツ」の導入は、今後ますます人間関係が希薄になっていく企業で、社員のモチベーションアップ、チームの一体感など労働環境の改善につながるのだ。
関連記事
- こんなに頑張っているのに、なぜ日本だけGDPが回復しないのか
日本経済の復活がうかがえるような、データがなかなか出てこない。先進国と比べて、GDP増加率は低く、賃金も低い。多くのビジネスパーソンは懸命に働いているのに、なぜパッとしないのか。筆者の窪田氏は「日本社会のシステムがブラック企業化しているから」と見ていて……。 - 10年で116万台減少! 「世界一の自販機大国ニッポン」はなぜ衰退したのか
「日本は世界一の自販機大国」という話を聞いたことがあるが、本当にそうなのか。一人当たりの台数は世界一だが、機能面でいえば世界の潮流から遅れているようで……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 日本のアニメは海外で大人気なのに、なぜ邦画やドラマはパッとしないのか
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が米国でもヒットしている。このほかにも日本のアニメ・マンガは海外市場で勝負できているのに、なぜ邦画やドラマはパッとしないのか。その背景に、構造的な問題があって……。 - 物価は上昇しても「給料」は上がらない、根本的な問題
4月から公共料金や食品など多くの商品が値上がりしているが、ビジネスパーソンの給与も上がるのだろうか。筆者の加谷氏は否定的な見方をしていて、さらに下落するかもしれないと予測している。なぜかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.