人間とアルゴリスムが融合 フィデリティのロボアド「ザ・ハイブリッド」、資産運用の「ワンオペ」解消狙う(2/2 ページ)
フィデリティ証券は7月6日、ロボアドバイザーと人によるアドバイスを組み合わせた「ザ・ハイブリッド」サービスの提供を開始した。担当者がライフプラン相談を通じて資産運用プランの設計をいっしょに行い、ロボアドが運用。その後も定期的にアフターフォローを行う。
徐々に増えるハイブリッド型ロボアドバイザー
インデックスETFを組み合わせてロボットがアルゴリズムに基づき、リバランスなどを自動で行うのが、従来の国内ロボアドサービスの基本的な内容だ。しかし昨今、人によるアドバイスを組み合わせるハイブリッド型が広まりつつある。
今回ハイブリッド型のロボアドをスタートするフィデリティだけでなく、国内ロボアドトップのウェルスナビは、地方銀行と組んでハイブリッドロボアドのサービスを徐々に増やしている。
背景には、米国の事例がある。預貯金が資産の過半を占める日本とは違い、米国は個人金融資産の約半分を金融資産で運用しているといわれ、投資先進国だ。しかし、金融サービスに詳しい明治大学の沼田優子特任教授は、米国でも当初は日本に近かったと言う。
「米国ではワンオペ問題が解消されることで、金融資産構成が変わっていった。従来は、アドバイスがありかなしかだった。現在は、多様なアドバイスが登場し、これによってワンオペ問題が小さくなっていった」
米国においても、直販やネット証券を使い、自身の判断で投資を行っているのは12%に過ぎないという。簡易アドバイスが普及していく中で、ワンオペ問題が解消され、これが投資の普及につながった。米国では、大手のバンガード、チャールズ・シュワブ、ベターメントなどが人によるアドバイスを付け加えたハイブリッド型のロボアドサービスを展開し、利用者を急速の拡大させた。
利用者の視点では、アドバイスコストは単なる安心料ではない。アドバイスの内容は、「行動コーチングを重視し、例えば短期的な相場変動に一喜一憂することなどをなくし、結果的に長期運用成績の向上につなげる。どの銘柄がお勧めか、いつ買えばいいのか、いつ売ればいいのかというのは一線を画すアドバイスだ」(久保田氏)というもので、利用者の金融リテラシーを長期的に上げることを狙っている。
こうしたアドバイスによる平均的なリターンの上昇効果はアドバイザーズアルファと呼ばれる。沼田特任教授は、アドバイスの種類にもいろいろあるとしながらも、「アドバイスをすることによるパフォーマンスの押し上げは、だいたい3%くらいといわれている」と話した。
アドバイス付きのロボアドは日本でも根付くかどうか。また0.55%のアドバイス費用が、利用者にどう評価されるかが注目される。
関連記事
- 米国で人気 人とアルゴリズムを組み合わせたハイブリッド型ロボアドバイザーは日本でも増加するか?
米ロボアド市場の成長の原動力の一つとなっているのが、純粋なアルゴリズムだけではなく、そこに人間のアドバイスを組み合わせるという、ハイブリッド型アドバイザーだ。国内でも、地銀と連携してロボアドを販売する動きがあるが、果たして上陸できるのだろうか。 - 資産運用もニューノーマル? ロボアドへの期待と課題
コロナ危機で時間もできて、資産運用にチャレンジしてみようという人が出てきた。しかし、指南役がいないと、もうかる銘柄を見つけて投資したり、上昇相場を期待して投資のタイミングを見計らったりする投資法に回帰してしまう。正統派資産運用に向けてトレンドは変わるか? - 楽天証券、クレカ積立可能なロボアド「らくらく投資」 6月20日開始
楽天証券は6月20日から、クレジットカードによる積み立てに対応したロボアドバイザーサービス「らくらく投資」の提供を開始する。100円から投資を始められるほか、楽天カードを使ったクレジットカード決済では積立額の1%をポイントで還元する。また、購入や積み立てには楽天ポイントも利用できる。 - WealthNavi、初のNISA対応ロボアド「おまかせNISA」
ロボアドバイザーサービス「WealthNavi」を運営するウェルスナビ(東京都渋谷区)は12月8日、2021年初春にNISAに対応したロボアド「おまかせNISA」を提供すると発表した。NISA対応のロボアドは初。 - 手数料1%以下のラップ口座登場 「プラグイン金融」で資産運用の水平分業進む
Japan Asset Managemetは、スマートプラスの新サービス「Digital Wealth Manager」を使い、手数料1%以下の資産運用サービス「JAM Wrap」を提供する。証券システムのSaaS化によって、安価で簡単に金融サービスを提供する「プラグイン金融」の時代が到来しようとしている。 - ロボアドでアクティブ運用 アルゴリズムで18銘柄を選び出す
伸びるであろう銘柄を見つけて投資するというアクティブ運用の世界にも、新たな動きがでてきた。スマートプラスが提供する、アクティブ運用を行うロボアド「Wealth Wing」だ。 - auカブコム証券、信用取引のロボアド提供開始 銘柄やタイミングを助言
auカブコム証券は2月中をめどに、取引の銘柄や売買タイミングを知らせる投資助言型のロボットアドバイザーサービス「信用ロボアド」を提供する。国内個別株式を対象に、信用取引の売りと買いを組み合わせて、アルゴリズムを元に投資助言を行う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.