セブン&アイHD、純利益3倍 コロナで“小商圏化”、売れ筋が変わった?:売り場を見直し
セブン&アイHDによると、国内コンビニ事業ではコロナ禍で小商圏化が加速。売り場や品ぞろえを見直すなど対応を急ぐ。
セブン&アイ・ホールディングスが7月8日に発表した2022年2月期第1四半期(21年3〜5月)連結業績は、純利益が前年同期比3倍の430億円だった。売上高に相当する営業収益は同11.8%増の1兆5553億円、営業利益は同8.6%増の775億円。国内コンビニ事業では、コロナ禍で小商圏化が加速。売り場や品ぞろえを見直すなど対応を急ぐ。
国内コンビニ事業は、営業利益が603億円(前年同期比15.6%増)。自営店と加盟店を合計したチェーン全店の売り上げは1兆2319億円(同4.6%増)だった。
同社は、7月1日に公開した中期経営計画(21〜25年)の中で「小商圏化の加速と多様化」を、国内の課題として挙げている。新型コロナウイルスの影響でより小商圏化が進み、ファミリータイプアイス、冷凍食品(冷凍総菜)の購入額が増えるなど、使われ方が変化。「売り場、品ぞろえの見直しが急務」(同社)という。
資料によると、店舗ごとに顧客ニーズの違いが顕在化する中、同社は店舗内のレイアウトを変更するなどし、売り上げを伸ばしているという。食品だけでなく生活雑貨のニーズも見据え、20年12月には、一部でDAISO商品テスト販売も始めた。
海外(北米)コンビニ事業は、コロナ禍で、デリバリーやデジタルウォレットなどの取り扱い店舗の拡充、ファストフードやプライベートブランド商品の開発・販売に注力。営業利益は177億円(前年同期比6.8%増)、チェーン全店の売り上げは9516億円(同9.0%増)だった。
今後は、買収したスピードウェイ事業との統合を進める。同事業のブランドロイヤリティーや立地を生かした集客力に、セブンの商品力を組み合わせシナジーを生むとしている。
そのほか、スーパーストア事業は営業利益が43.7%減の58億円。百貨店事業は営業損失が21億円(前年同期は12億円の赤字)に拡大。コロナ禍での休業に伴う、固定費などが響いた。
22年2月期通期の連結業績予想は、営業収益が前期比26.1%増の3兆5160億円、営業収益が2.4%増の1840億円、純利益が24.1%増の900億円を見込む。
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