真面目に運営していても、「飲食店」だけが叩かれるシンプルな理由:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
4度目の緊急事態宣言が発出され、飲食店がまた攻撃されている。西村康稔経済再生相からは、まるで「反社」扱いされたわけだが、なぜ飲食店はここまで叩かれるのか。背景にあるのは……。
飲食店はマイノリティー
そして問題なのは、このような「影響力の弱さ」が、経済だけではないことだ。『「ふざけんなよと」怒り爆発 大手外食が“露骨に冷遇”されるワケ』の中で詳しく解説をしたが、実は飲食業界は政治へのロビイングが弱い。一応、「全国飲食政治連盟」などはあって活動はしているものの、自民党の政治献金の受け皿である国民政治協会に2億円ポーンと出して、各地の選挙でもバックアップしている、日本医師会などと比べたらまったくパッとしないのだ。
「だからってそれが飲食イジメにつながるかね」と冷笑する方も多いかもしれないが、ならばこの1年、現役の自民党議員で、真正面から日本医師会を批判している方がどれだけいるのかを考えてみていただきたい。
中川俊男会長の「会食」「パーティー」、さらには小さな民間病院の経営を守るため、コロナ病床を頑なに増やさないスタンスに対して、ネットやSNSでは痛烈な批判が多いが、政府や政治家が声高に叫んでいるのを耳にしたことがあるだろうか。
あまり思い浮かばないのではなないか。この国で政治家をやることは、どこかで必ず医師会の世話になる。自分がそうではなくとも、党や同志の選挙で医師会からの献金や応援に頼らざるを得ないのだ。だから、日本の政治は医師会イジメなど絶対にできない。
では、その「ゆがみ」はどこへ向かうのかというと、「イジメても問題のない人々」へ向かう。経済的にもダメージが少なく、選挙や献金的にもマイナスがない。それを消去法で考えていくと、ほとんどが個人経営で、従業員もアルバイトやパートという組織票につながりにくい「飲食店」しかないのだ。
「飲食店が政治的に重要視されなくても、飲食店も会員となっている商工会議所は政治的に影響力があるだろう」と勘違いしている方もいらっしゃるかもしれない。確かに、日本商工会議所をはじめとした、いわゆる中小企業団体は、自民党の有力支持団体の一つであり、現在の「賃上げ」議論にも大きな影響を及ぼすのは事実だ。
ただ、「商工会議所とは」(2021年4月現在)の会員企業の内訳比率を見れば、その中で飲食店の影響力が微々たるものであることが分かる。20%超えが「卸売・小売業」で、15%超えが「建設業」、次に多いのが「製造業」となっている。では、「宿泊業・飲食サービス業」はどうかという、10%にも届いていない。
日本商工会議所という政治的勢力の中でも、飲食店はマイノリティーなのだ。
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