キリン「氷結」、6月に過去最高売り上げを記録 ビールユーザーの獲得を狙う:生誕20年
キリンビールの「氷結」が好調だ。6月は過去最高売り上げを達成した。氷結の好調を支えた要因は?今後の戦略についても見ていこう。
5年ぶりに大型リニューアルしたキリンビールの「氷結」が好調だ。6月は前年同月比112%となる約370万ケース(250ミリリットル換算)を売り上げ、2001年の発売から過去最高を記録した。
売り上げをけん引したのは、「氷結 シチリア産レモン」だ。リニューアル後の購入率は、リニューアル前と比較して購入者全体で約140%伸長し、ビールユーザーだけでいうと約160%も伸びた。20年10月の酒税改定の影響で第三のビールと発泡酒が大幅増税したことで、税率が低いチューハイと、ビールを併飲するビールユーザーが増加したことが背景にある。
キリンの担当者によると「現在の主な顧客層は、30〜50代男女のRTD(栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)主飲用者です。今後は、さらにRTD市場の拡大をけん引するビールユーザーを取り込んでいきたいと考えています」という。
ビールユーザーへは「氷結 シチリア産レモン」と「氷結 無糖レモン」の2軸でアプローチしていく。担当者は「調査から、ビールユーザーはチューハイに対し、飲みやすさや果汁感、甘くないといったスッキリ爽快なおいしさを期待していることが分かりました。みずみずしい果汁感とさわやかさが特徴の『氷結 シチリア産レモン』と、甘くないのにレモンの風味がしっかり感じられる、『氷結 無糖レモン』でビール類飲用者のニーズを満たしていきたいです」と話す。
酒税改定に伴うビールユーザーのRTD市場への流出入に関して、担当者は「今後も流入は増加していくと予測しています。コロナ禍での健康志向の高まりによって、チューハイが選ばれる機会も増えていくと考えます」と話した。近年は糖質オフブームもあり、糖質が抑えられるチューハイが好まれる傾向にあるのかもしれない。
01年に発売した氷結は、収穫後の果実の搾り汁を氷点以下で冷却(氷点凍結)することで実現した果実感と香りが特徴だ。また、当時は焼酎ベースが主流だったチューハイをクリアウォッカベースにすることで、雑味の少ない、果汁のみずみずしさが引き立つ味わいを目指した。その結果、発売10日で出荷数量が100万ケースを超えるヒット商品になった。
08年には、リーマンショック後のストレス発散・解消ニーズに合わせてアルコール度数が8%と高めの「氷結 ストロング」を発売。14〜18年に夏季限定で発売した「氷結 アイススムージー」もフローズン飲料として定着していった。
21年は、6月22日から氷結ストロングシリーズ「夏のレモンミックス」を全国で販売している。氷結ストロングシリーズは「ストゼロ」と呼ばれ、手に取りやすい価格の割にアルコール度数が高く、手軽に酔えると人気が高まっている。同社は、生誕20年を迎えた氷結ブランドで、伸長するRTD市場のさらなる活性化を狙っていく。
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