日本という組織、「無責任なトップ」のツケは誰に?:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
東京五輪が始まる。しかし、最初から開催直前まで問題だらけ。誰が責任者かも分からないような事態が続いている。日本という組織の問題点とは。そして、「無責任なトップ」のツケは誰に回ってくるのか──?
東京五輪がいよいよ始まります。しかしながら、最初から開催直前まで「これでもか!」というくらい問題だらけ。
果たして日本に五輪をやる資格があるのだろうか? と、情けなさばかりが募ってきます。
五輪に関する数々の問題は、「船頭ばかり多くて、誰も責任をとらない」という組織の無責任構造と、「現場のためではなく、自分のため」しか考えない人たちによる“トンチンカン政策”に起因しています。
その構図があからさまに見えたものの一つが、先週、西村康稔経済再生担当相の「酒類の提供停止要請に応じなかった飲食店に金融機関を通じて働きかけを行ってもらう」という発言をめぐる一件。てんやわんやの大騒ぎとなり、“大臣ら”がこぞって謝罪、撤回する始末になりました。
この件に登場した大臣らの発言はいずれも、聞かされているわれわれには「何言ってんだかちーっとも分からない」弁明ばかり。「誤解をまねいた」「承知していない」というお得意のフレーズが繰り返され、誰も説明責任をはたさず、揚げ句の果て、方針撤回、謝罪で、ジ・エンドとなりました。
「酒類の提供停止要請に応じなかった飲食店に、金融機関を通じて順守の働きかけを行ってもらう」という発想が、西村大臣発のものだったのか、内閣府発だったのかは定かではありません。
しかし、西村大臣の発言があった8日同日付で、内閣官房が各府省庁に、所管する金融機関に政府方針への協力を求めるよう依頼する文書を出しているので、独断ではなく政府ぐるみだったことは明らかです。
いずれにせよ、「酒類」を巡るすったもんだは、五輪組織委員会の橋本会長が6月21日の記者会見で、観客に対する会場での酒類の販売や提供を検討していることを明らかにしたことから始まりました。
22日午前にはTBSが「東京五輪組織委 競技会場での酒の販売認める方向で検討」と報じ(該当するページは現在、削除されている)、その日の夜には、「酒類提供を断念する方針を固めた」とのニュース速報が入るなど、「いったいなぁにをやってるんだ!」的な出来事がおきたばかりです。
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