「どうせ無理」と思い込むのではなく、「あたりまえ」を疑うことが大切な理由:水曜インタビュー劇場(澤円公演)(2/5 ページ)
「仕事の結果がでないなあ。この会社は自分に向いていないよ」と思い込んでいる人もいるのでは。こうした“思い込み”は、仕事をするうえで役に立つのだろうか。コンサルティング業務などを手掛けている「圓窓(えんそう)」を立ち上げた澤円氏に、話を聞いた。
スポーツが苦手だと思い込んでいた
土肥: 仕事や生活をしていくなかで、「だからうまくいかないんだ」と感じるシーンは多いかと思いますが、澤さんは以前から「うまくいかない原因の多くは『思い込み』にある」と指摘されていますよね。例えば、ご自身が子どものころに、思い込みによって「勘違いをしていたなあ」とか「うまくいかなかったなあ」といったことはありましたか?
澤: 僕はスポーツが苦手でした。同級生と比べても、運動神経が鈍くて、体育の成績は散々でした。でも、これも「思い込み」であることが、大人になってから分かってきました。正確にいうと、スポーツが苦手ではなくて、学校教育の体育が苦手だったんですよね。
学校でやるスポーツといえば、団体競技が多いですよね。サッカー、バレーボール、バスケットボールなど。他人と比べてうまくできないので、「あ〜自分は運動神経がない。スポーツは苦手だったんだなあ」と思い込んでいましたが、大人になって背筋力を測ったところ、300キロほどあったんですよね。
土肥: 300キロ! ちなみに、男性19〜26歳の平均は160キロほど。
澤: 知人の紹介で30歳のときに空手を始めたところ、自分が思っている以上にうまくできたんですよね。現在、空手三段を取得しているのですが、その要因の一つは背筋力が人並以上にあるので、姿勢を真っすぐ保つことができていることだと思っています。また、スキーも始めたところ、これも自分が思っている以上にうまくできて、指導員の免許を取得しました。
というわけで、僕の場合、得意なスポーツがあることは大人になって分かってきたんですよね。学生のころに「スポーツ全体が苦手」と思い込んでいたわけですが、そうではなくて「体育で教わるスポーツが苦手」だった。「スポーツ×学校教育=苦手」だったのですが、「スポーツ×単独競技×背筋=得意」だったわけです。このように「掛け合わせ」をちょっと変えるだけで、苦手なものから得意なものになる可能性があるんですよね。
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