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「どうせ無理」と思い込むのではなく、「あたりまえ」を疑うことが大切な理由水曜インタビュー劇場(澤円公演)(3/5 ページ)

「仕事の結果がでないなあ。この会社は自分に向いていないよ」と思い込んでいる人もいるのでは。こうした“思い込み”は、仕事をするうえで役に立つのだろうか。コンサルティング業務などを手掛けている「圓窓(えんそう)」を立ち上げた澤円氏に、話を聞いた。

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「分かっている」ではなく、「分かりやすい」

土肥: 学生時代の話をお聞きしましたが、社会人1〜2年目のときに思い込んだことで、勘違いしていたことはありますか?

澤: 僕は大学を卒業して、生命保険会社のIT子会社に就職しました。プログラマーとしてキャリアをスタートしましたが、文系の学生だったこともあって、全く歯が立たなかったんですよね。会社の先輩が何を言っているのかよく分かりませんでしたし、プログラムを書くこともできません。社会人として、いきなり「落ちこぼれ」になってしまって。それでも親切な先輩のおかげもあって、入社してから1〜2年でコンピュータの基礎の基礎がようやく分かるようになってきました。ちょうどそのころに、インターネットの時代がやって来たんですよね。

 プログラマーとしては“ビリ”の位置にいたので、インターネット時代がやって来るぞとなっても、「どうせ、またダメなんだろうなあ」と思い込んでいたのですが、考え方をちょっと改めました。プログラマーとしては“ビリ”でも、時代はリセットされそうになっている。ITのことを学ぼうとしている人からは、「この人(澤さん)はなんて詳しいんだ」という評価に変えることができるかもしれないと。


インターネットの時代がやってきて(提供:ゲッティイメージズ)

土肥: ん? ただ、プログラマーとしてはイマイチ。詳しい人はたくさんいるわけなので、多くの人から「澤さんではなく、より詳しい人に教えてほしいなあ」といった声があったのではないでしょうか?

澤: ご指摘のように、僕よりも詳しい人は山ほどいました。「澤よりも、詳しい人に教えてほしい」といった声もあったかと思いますが、僕は初心者だったので、「初心者が必死に覚えたプロセス」が重宝されたのかもしれません。インターネットのことをほとんど知らない人でも、分かりやすく伝えることを心がけたところ、どうなったのか。

 「澤は分かっている」ではなく、「澤は分かりやすい」といった形で評価されるようになりました。「コンピュータのことはよく分からない。インターネットはやったことがない。そんな自分のような人間にも、分かりやすく解説してくれる」といった声が増えていき、それが僕にとって大きな変化になっていきました。

土肥: 「自分は社会人として失格」などと思い込んでいたら、そのまま腐っていたかもしれない。となると、その後、ビル・ゲイツから表彰されることもなかったはず。

 澤さんは「伝える」という価値を見つけて、“ビリ”から抜け出すことができたわけですが、現実は難しいですよね。「結果を出せない」「上司からは怒られてばかり」「給与は上がらない」といったことが続くと、「自分はこの仕事は向いていないなあ。転職するか」と考える人が多いと思うんですよね。

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