花火商戦に“異変” 遊べる場所が減り続けていた「家庭用」が息を吹き返したワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
コロナ禍で打ち上げ花火が苦戦している。一方、家庭用の手持ち花火などは好調だ。「SNS映えする」「近所迷惑にならない」といった現代風の工夫が支持されている。
手持ち花火に商機
このような手持ち花火の人気に目を付け、「ザ・プリンス パークタワー東京」(東京都港区)では、浴衣を着て手持ち花火で夕涼みが楽しめる「SUZUMUSHI CAFE」なるイベントを、8月1〜30日に開催する。
“五感を感じる涼”をテーマに、鈴虫の音色を聴きながら縁側で涼を取る「夕涼み」を、光と映像で表現する。水の揺らぎをプロジェクションマッピングで演出し、縁側席では足水を用意する。浴衣レンタルの「YUKATA CLOSET」(女性のみ)や芝公園の一角で手持ち花火が楽しめる「MOONLIGHT PARK」がセットとなっている。
東京タワーが目の前にそびえ、都心にいながら緑豊かな開放感の中、ゆったりとした夏のひとときを過ごしてもらう趣旨だ。密を避けるため事前のWeb予約が必要。料金は1人3000円で、1プレート料理、1ドリンク、お土産の匂い袋付き。
「ホテル椿山荘東京」(東京都文京区)では、「セレニティ・ガーデン」にてビアガーデンならぬ「シャンパンガーデン2021」を7〜9月に開催(緊急事態宣言の発令に伴い、7月16日〜8月22日は中止)。平日限定の特典として、1人2本の手持ち花火(線香花火など)をプレゼントする。まず、シャンパンをチーズやタンドリーチキンで楽しんでもらう。その後、会場の「セレニティ・ガーデン」で花火を満喫し、日本の夏を感じてもらおうといった趣旨だ。
値段は1万4000円(金土日祝は1万5000円)。Webで事前予約が必要。
高級感あるシティーホテルと、線香花火のような庶民的な手持ち花火の組み合わせには、一見ミスマッチな印象を受ける。しかし、盛大な花火大会や夏祭の自粛が相次ぐ、コロナ禍の夏のおもてなしにはぴったりなアイテムということだろう。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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