花火商戦に“異変” 遊べる場所が減り続けていた「家庭用」が息を吹き返したワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
コロナ禍で打ち上げ花火が苦戦している。一方、家庭用の手持ち花火などは好調だ。「SNS映えする」「近所迷惑にならない」といった現代風の工夫が支持されている。
どのような玩具花火が売れているのか
それでは、どのような玩具花火が売れているのだろうか。
ドン・キホーテでは「はなびっぐ」という手持ち花火のボリュームセットが、手頃な価格が好まれ売れている。また、自社開発の手持ち花火ボリュームセットも好調で、約300本も入っているのが特徴だ。
紙のバケツが付いている商品や、近所迷惑を避けるために大きな音が出ない商品など、付加価値のあるものが望ましい。そして、量が多くて値段が安価、しかも消費者に喜ばれる工夫が凝らされた商品が人気になっている。
若松屋によれば、家庭向けのロケット花火や打ち上げ花火は、遊ぶ場所がなくなってきているので長期的に縮小傾向。噴出花火の「ドラゴン」、線香花火やススキ花火のような手持ち花火が主流になっているという。
花火卸売の佐野花火店(愛知県岡崎市)では、「たこおどり」という手持ち花火が売れている。最初はパチパチと普通の線香花火のように光っているが、途中から光が4つ、5つに分岐して、たこが躍っているようにコミカルかつ華やかに変化する。パッケージに描かれている、たこの絵がかわいいとセレクトする人も多い。
ススキ花火も人気だが、平凡な光り方に飽き足らず、10変色、20変色と、色が多彩に変わる商品もウケている。5色が4回変化して20変色になるなど、1回で何度も楽しめて得をした気分にさせるのが選ばれる理由だ。
また、手持ち花火を使って文字などを描いてスマートフォンで撮影する、花火文字が流行している。
花火文字を上手に撮るには、夜景やアーティスティックな写真が撮れるアプリをインストールするのが望ましいとされている。また、よく光り、煙が少ないタイプの花火が好まれている。
花火とペンライトを組み合わせて楽しむ人もいる。花火大会では、全部打ち終わった後に花火師に感謝の気持ちを示すために、参加者がペンライトを灯(とも)すのだが、家庭用の玩具花火と組み合わせる場合、それとは異なった使い方が広まっている。
折って使うタイプのスティック型ペンライト「ルミカライト」を販売するルミカ(福岡県古賀市)は、花火セットの中に「ルミカライト」を入れて販売するケースが増えていると明かす。花火文字と同様、ペンライトで文字を描きながら、花火と一緒に写真を撮ってSNSに投稿するのだ。花火を振り回しながら写真を撮ると、火の粉が散るリスクがある。そこで、もっと安全に花火とペンライトアートを融合させてインスタ映えを狙う手法である。
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