花火商戦に“異変” 遊べる場所が減り続けていた「家庭用」が息を吹き返したワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
コロナ禍で打ち上げ花火が苦戦している。一方、家庭用の手持ち花火などは好調だ。「SNS映えする」「近所迷惑にならない」といった現代風の工夫が支持されている。
縮小していた玩具花火が一転して好調に
日本煙火協会の「令和2年度事業報告」によれば、花火の市場規模は、打ち上げ花火が約53億円(生産額ベース)。一方、玩具花火は約13億円と、5倍近い開きがある。花火業界は、市場が大きな打ち上げ花火をメインにしてきた。少子高齢化で子どもの数が少なくなっただけでなく、ゲームなど他の遊びの選択肢が増えたことや、花火ができる場所が減っていることが背景にある。
特に、近年は花火を禁じる公園も多く、花火ができる場所をまとめたサイトが作成されているほどだ。庭付き一戸建ての持ち家ならともかく、賃貸やマンションでは花火が禁じられているケースも多い。近所で花火ができないなら、花火大会を見に行こうとなる。
ところが、コロナ禍で昨年と今年は、花火大会がなくなってしまった。そこで、せめて密を避けて、家族やカップルのような少人数の集まりで、プライベートに花火を楽しもうという流れになっている。車でキャンプに出掛けて、河川敷や海岸でバーベキューをするだけでなく、花火も楽しむ人たちが増えている。
20年の玩具花火は、従来の市場がシュリンクしていく傾向から反転して、2桁を超える売れ行きを示した。
前出・若松屋では、「昨年は梅雨が長く7月まで花火の動きは鈍かったが、梅雨が明けて暑くなった8月に一気に売れて在庫が僅少になった」と振り返る。「今年は梅雨明けがいつもより早く7月中旬になったので、さらに動きが早い」と、玩具花火の売れ行きがさらに加速していると証言する。
昨年、ドン・キホーテでは、通常なら花火を扱わないような秋冬シーズンも継続して販売。他店より2カ月早い3月から販売を強化して、キャンプなどアウトドアの需要に応えた。その効果もあって「花火を買うならドンキ」といったように、顧客からの信頼を集めるに至っている。
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