マクドナルド、「4つの戦略」で要注目の1〜6月期決算 先行投資の行方は?:飲食店を科学する(3/5 ページ)
マクドナルドの1〜6月における店舗の売上高が好調だ。8月に発表される第2四半期決算の結果に注目が集まる。コロナ禍を乗り越えるための「4つの戦略」と、先行投資の中身を分析する。
幅広いターゲット層を獲得する「メニュー・バリュー」戦略
マクドナルドの強さの一つにメニュー戦略があります。マクドナルドではハンバーガー、デザート、ドリンクなどを合わて年間で100アイテム以上の期間限定メニューをリリースしています。また、この期間限定メニューは、決してやみくもに開発されている訳ではありません。獲得したいターゲット層を明確に定めた上で、綿密に開発企画が練られているのです。
最近の期間限定メニューを例にとると、マクドナルドの中では高価格帯に分類される490円価格帯に肉厚のパテを使用した「サムライマック」などのグルメ系ハンバーガーを投入しました。一方、100円、150円、200円というラインアップで数種類のハンバーガーが選べる「ちょいマック」や、平日のランチタイム限定で400円からの「バリューランチ」を展開しています。このように、低価格帯と高価格帯の両方において同時にキャンペーンを打ち出すことで、幅広い客層の獲得に成功しています。
また、子ども向けメニュー「ハッピーセット」のサイドメニューにおいては、フライドポテトに加えて、えだまめコーン、ヨーグルト、サイドサラダを追加。「子どもの健康を気にする母親層」からの支持を得ることにも成功しています。
その他、フィレオフィッシュの白身魚には持続可能な漁業で獲られた水産物に認められる「MSC認証」を取得した「天然アラスカ産スケソウダラ」を使用しています。また、コーヒーに関しては、森林や生態系を守り、労働者に適切な労働条件を提供する「レインフォレスト・アライアンス認証」を取得した農園が栽培するコーヒー豆を100%使用しています。さらに、ハッピーセットのおもちゃをリサイクルする取り組みを行うなど、環境に配慮した企画にも注力しています。
こうした取り組みが、従来のマクドナルドには来店していなかった「健康や環境意識の高い消費者層」の新規獲得に大きく寄与しています。
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