KDDI、通信料値下げでも増収増益 金融事業が成長ドライバー:21年4〜6月期
KDDIは2022年第1四半期の連結業績を発表した。MVNOの台頭やサブブランドUQ mobile、povoへのユーザーの移行が進み、通信料が下がったにもかかわらず、増益増収を達成した。成長を支えたのは金融事業だという。決算の詳細を見ていこう。
KDDIが7月30日に発表した2022年第1四半期(21年4〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.6%増の1兆3003億円、営業利益が2.9%増の2992億円、純利益が4.1%増の1899億円と増収増益だった。通信料金値下げの影響を受けたものの、成長分野である通販・金融などのライフデザイン領域がカバーした。
主力の通信事業を含むパーソナルセグメントは、売上高が4.3%増の1兆1202億円、営業利益が3.1%増の2506億円だった。一方、au、UQ mobile、povoを合わせたマルチブランド通信ARPU収入は3999億円と前年同期比で2.8%減少した。
同社の村本伸一副社長は「他社のMVNOの台頭や(手頃なサブブランドである)UQ mobile、povoへの移行が進んでいることが収入に表れている。一方で、5Gやau使い放題MAX(NetflixやYoutube Premiumなどの4つのエンタメサービス込みの料金プラン)の利用者も伸びており、ほぼ想定通りの流れだと考えている」と説明した。
同社は通信事業の強化とau経済圏の拡大を目指すマルチブランド戦略を掲げている。サブブランドのUQ mobileユーザーでも「auでんき」などauのサービスを利用できたり、販売チャネルをauショップ全店に拡大したりなど顧客の生活に寄り添ったキャリアを目指す。
また、山手線と大阪環状線の全49駅のホームで5Gの提供を開始。同社はau「鉄道路線5G化」を掲げ、22年3月末までに関東21路線と関西5路線の主要区間のホーム、駅構内、駅間を中心に5Gエリア化を推進するとした。
22年第1四半期決算の増益増収を支えたライフデザイン領域では、コアとなる「auでんき」「au PAYカード」「auスマートパス」などの各種サービスが順調に成長している。また、ライフデザイン領域の成長ドライバーである金融事業では、22年第1四半期の決算決済・金融取引高が前年同期比1.3倍の2.5兆円に拡大した。
法人向けのビジネスセグメントは売上高が4.3%増の2543億円、営業利益が0.96%減の4439億円だった。テレワークの導入支援などのコーポレートDXや、IoT・クラウドを活用したビジネスDXなどの「NEXTコア事業」が18.0%増と大幅に伸長したことが要因といえる。
同社の村本副社長は「5G時代を見据え、顧客がDXを推進するうえで通信デバイスだけでなく、IoT技術やビジネス開発などさまざまな選択肢を提供していきたい」と述べた。
同社は22年3月期通期の連結業績予想も発表した。売上高は5兆3500億円(前年同期比0.7%増)、営業利益は1兆500億円(同1.2%増)、最終利益は6550億円(同0.5%増)を見込んでいる。
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