海外メディアは日本の「コンビニ」をベタ褒めしているが、外国での普及が難しいワケ:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
東京オリンピックが開催され、選手たちの間で、日本のコンビニや自販機などが話題になっている。海外メディアがベタ褒めして、「五輪レガシー」になりそうなモノはなにか。
お菓子に期待
筆者の本コラム『10年で116万台減少! 「世界一の自販機大国ニッポン」はなぜ衰退したのか』の中で詳しく紹介したが、IoTを駆使したり、生鮮食品やユニークなものを売ったり、というバラエティーに富んだ自販機で言えば、米国、イタリア、お隣の韓国のほうがよほどそろっている。
自販機文化のない国の人は、こういう現実を知らないので、「日本の自販機はすごい!」とベタ褒めをしてくれるが、実はそこまでの「自販機大国」ではないのだ。つまり、五輪で評判がよかったからと世界へ広めても、残念な結果になってしまう可能性が高いのだ。
実際、日本の自販機ビジネスの雄、ダイドードリンコもロシアに進出したが苦戦しており、15年に進出したマレーシアに至っては事業不振で撤退している。
と聞くと、「なんだよ、せっかく外国人がベタ褒めしてくれているのに、ぜんぜんチャンスを生かせないのかよ」とガッカリする人も多いだろうが、安心していただきたい。実は「世界へのアピール」ということでは、非常に大きな効果が期待できるものが一つ残っている。それは「お菓子」だ。
競技を終えたアスリートや、メディア関係者たちが「たけのこ里」「アポロ」「果汁グミ」などを食べて、そのおいしさをSNSで発信してくれているのだが、これは五輪後の「成長」に結びつく可能性が高い。実は日本のお菓子は近年、そのクオリティーの高さで市場を拡大しているからだ。
例えば、カルビーの21年3月期決算によると「じゃがポックル」や「Jagabee」によって海外ビジネスが好調で、海外売上高531億円、為替影響を除く実質伸び率は前期比プラス18.4%と大きく成長している。
明治ホールディングスも海外売上高は20年度488億、21年度は550億円と順調だが、それをさらに加速させて、23年度は820億円、26年度には海外売上高比率20%を目指すという。
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