河村市長がやらかしました 謝罪で使ってはいけない仮定法過去完了:お詫びしたい(3/3 ページ)
河村市長がやらかしました。政治家のやらかしは後を絶たず、謝罪会見が開かれるたびにでるのが「(迷惑かけた/傷付けたとすれば)お詫びしたい」という言葉。せっかくの謝罪を台無しにする、使ってはいけない言葉なのに……。
(3)エスカレートの原因は?
発言がすべて証拠として記録される裁判などであれば、そこでの発言一つが左右する影響力は大きいでしょう。しかし謝罪は裁判ではありません。裁判までもっていかずに済むための危機管理のコミュニケーションです。そこで過剰な防衛をしてしまうことで、いきなり相手に挑戦状を叩きつけることになります。
アメリカでは「アイムソーリーと言えば全責任を負わなければならない」といった説を聞くことがありますが、私はNYSE上場企業との社運を賭けた交渉の場ですら「ソーリー」のような単語は使ったことがあります。日常生活でも普通に耳にする単語です。「言ったら終わり」のはずがありません。さまざまな状況や立場によって、事態を悪化させるのは別に一つの単語で決まるようなものではありません。
政治家や高官という、人の上に立つ立場が、過剰自己保身に走った結果が仮定法過去完了的な不快な謝罪になってしまうのでしょう。法律だけで事態が済むならともかく、そもそも炎上までもっていかずに消火することが危機管理の原則のはずです。こうした手順を理解しない以上、政治家の謝罪は炎上を呼び続けると思います。
孫子では戦って相手を打ち負かすことより、戦わずして勝つことを最上の戦略としています。コミュニケーション戦略においても、謝罪がきちんとできないお偉方は戦略的判断力も乏しいと言えるのではないでしょうか。(増沢 隆太)
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