2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

累計販売数15万セット 捨てる野菜から生まれた「おやさいクレヨン」が売れ続けるワケハウス食品や富国生命ともコラボ(1/3 ページ)

捨てられてしまう野菜や果物を生かした「おやさいクレヨン」が売れている。累計販売数は15万セット。価格は2200円と安くはないのに、なぜ売れているのだろうか?おやさいクレヨンを作るmizuiroの木村尚子社長に話を聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

 本来捨てられてしまう野菜や果物を材料にした「おやさいクレヨン」が売れている。2014年3月に販売後、季節ごとに内容色の異なるシリーズをリリースし、累計販売数は15万セットに上る。価格は普通のクレヨンの約5倍にあたる2200円(10色入り)。決して安くはないのに、なぜここまで売れているのだろうか。


15万セットを売り上げる「おやさいクレヨン」とは(画像提供:mizuiro)

 おやさいクレヨンは子育て世代や祖父母世代から支持を集めており、過去にはハウス食品とスパイスを原料にしたクレヨンや、富国生命と全国の保育園に配布したクレヨンなど、大手企業とのコラボ商品を開発した。また、台湾や香港、米国、ドイツなどで展開していて、日本だけでなく海外からも幅広く注目を集めている。

 おやさいクレヨンの特徴は、米ぬかから採れた米油とライスワックスに野菜や果物の粉末を混ぜ込んで作られている点だ。一般的なクレヨンと異なり、キャベツや紫芋、りんご、カシスなどの素材をそのまま使っているため、ややくすんだ色味になってしまう。また、収穫のタイミングや製造ロットによって同じ「キャベツ色」でも少しだけ色味が変わることもあるという。一般的なクレヨンではあり得ないことだが、「バラつき」さえも、おやさいクレヨンの魅力の1つだ。


書き心地は普通のクレヨンと変わらないが、色味が少しくすんでいることが分かる

 そんなおやさいクレヨンを販売するのはデザイン会社のmizuiro(青森市)だ。野菜や果物には存在しない「青色」を補色するという意味が込められている。おやさいクレヨンはもともとフリーランスのデザイナーだった木村尚子社長の「画材や文房具など商品のデザインがしたい」という思いから生まれた。

 「青森で開催されていた藍染(あいぞめ)展を見に行ったのがきっかけでした。天然由来の色の深みや情緒に魅了され、天然の色を生かしたプロダクトが作れないかと考えるようになりました」(木村社長)

 次に「地元青森の野菜や果物を活用することでオリジナリティーを出せないか」と考え、野菜色の描画材(絵を描くペンなど)がアイデアとして浮かんできた。行政に相談したところ、補助金を出してもらえることになり、木村社長を入れた3人で開発チームを立ち上げることに。

 全員が子育て中だったことから「子どもと一緒に遊べるものを作りたい」という話し合いを通じて描画材からクレヨンに方針を変えた。


木村社長は「天然の色を生かしたプロダクトが作れないか」と考えた(画像提供:mizuiro)
       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る