ファミレス運営11社の店舗数、コロナ禍で793店減少 「都心部の見直しは避けられない」:東京商工リサーチ調べ
東京商工リサーチの調査によると、レストランを運営する上場主要11社の2021年3月末時点の店舗数は8322店で、20年12月末から3カ月間で115店減少したことが分かった。
東京商工リサーチの調査によると、レストランを運営する上場主要11社の店舗数は、直近決算期(2021年3月末・21年5月末)で8322店、20年12月末の8437店から3カ月間で115店減少したことが分かった。新型コロナ流行前(19年12月・20年2月)は9115店だったが、感染拡大で793店が減少していることになる。
同社が7月12日に発表した上場14社を対象にした「大手居酒屋チェーン」店舗数調査では、コロナ禍前に比べ14.5%減の1048店が閉店している。酒類提供を前提とする居酒屋に比べ、レストラン事業は酒類提供への依存度は大きくない。
にもかかわらず、店舗数が減少していることについて東京商工リサーチは「繁華街やオフィス街での夜間営業ができなくなったことに加え、それ以外の出店地でも長引く外出自粛や、滞在時間の制限も影響し、厳しい店舗運営を強いられている」と分析。「夏休みに入っても1日の感染者数が過去最多を記録する日が続き、レストラン運営各社の店舗運営は新たな見直しを迫られる可能性もある」と指摘する。
主要11社のうち、店舗が増加したのはサイゼリヤのみ。コロナ禍前の1085店から7店舗増え、1092店だった。
コロナ禍前と比べ店舗減少率が最も大きかったのは、九州・中国を中心に全国にファミリーレストラン「ジョイフル」を展開するジョイフルで22.6%減(882店→682店)。同社は、コロナ禍による外食産業の環境変化を理由に、20年6月に200店の退店計画を発表していた。
次いで、「ステーキ宮」などを運営するアトムが21.5%減(468店→367店)だった。しかし、アトムは前四半期から1店舗増加しており、退店ペースは底を打ち一段落している。このほか、うどん主体に和食メニューを展開するグルメ杵屋は18.4%減(396店→323店)、イタリアンレストラン「カプリチョーザ」のWDIは13.7%減(102店→88店)と続いた。
今春以降、既存店をより収益性の見込める別業態に転換し、出店を図るケースも散見される。コーヒーショップやメニュー特化型など、コロナ禍でも高いニーズをあて込んだ業態に転換し、コロナ禍での生き残りを目指している。一方、東京商工リサーチは「地域や業態により、不採算店のスクラップは並行して継続するとみられる」とし「特に賃料が割高な都心部では店舗見直しは避けられないだろう」と指摘する。
集計対象の企業は、ゼンショーホールディングス、サイゼリヤ、すかいらーくホールディングス、ロイヤルホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス(子会社のセブン&アイ・フードシステムズのみ)、ジョイフル、グルメ杵屋、木曽路、アトム、WDI(直営のみ、海外含む)、梅の花(外食事業のみ)の11社。
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