ホテル業界復活のカギは「朝食」にあり? コロナ禍でヒルトンが進めた115項目の改善:連載・瀧澤信秋「ホテルの深層」(1/4 ページ)
ホテルにとって朝食はキモ。“朝食でホテルを選ぶ”人も多いだろう。人気の尺度という点で朝食の良しあしは注目されるポイントになっているのは事実だ。筆者はソーセージと焼き鮭に注目する。
ホテル業界復活のカギは「朝食」にあり?
ホテルの評判を左右する朝食。コロナ禍の影響を大きく受けるホテル業界だが、この時期を生かしてサービス改革に取り組み、顧客満足度を上げているホテルもある。一体どのような改革を進めたのだろうか。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、地道に改善を積み重ねるホテル現場を取材した。
ホテルにとって朝食はキモ。“朝食でホテルを選ぶ”人も多いだろう。是々非々をスタンスとするホテル評論家としては“良いホテル悪いホテル”という表現を控えるようにしているが(どのホテルにも良いところと悪いところがある)、人気の尺度という点で“朝食の良しあし”は注目されるポイントになっているのは事実だ。
人は最後に体験したことが強い印象として残るという“ピークエンド効果”からいえば、ホテルステイの最後である朝食が好印象だと、仮にそれまでの滞在でネガティブに感じた点があってもホテルへの印象が違ってくる。そのような体験は筆者にもある。
集客を望むホテルにとっても、ハードの改修や設備機器の投入など、莫大な費用がかかる改善ができれば言うことはないが、そう簡単にはいかない。一方で朝食は、食材の変化やアイデアで改善しやすく、顧客満足度へも反映されやすい。コロナ禍でホテル朝食も大きく変容しているが、限られた条件の中で朝食の改善へ注力し顧客満足度を上げているホテル現場を取材した。
筆者自身への自戒も込めているが、時にこうした寄稿の際につい「ホテル朝食戦争!」などといったセンセーショナルなタイトルをつけがちだ。一方で、定点観測的に約半年に渡って取材を続けたが、各ホテルが地道に改善を積み重ねていることを感じた。
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