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コロナ禍でも黒字のアパホテル 常識破壊の”強さ”と悲願の10万室が生んだ“功罪”:創業50年(1/5 ページ)
アパホテルが2021年5月10日に創業50周年を迎えた。いまや日本を代表するホテルブランドとして圧倒的な知名度を誇る同社。コロナ禍の中、2020年11月期連結決算で黒字を確保したという発表は、ホテル評論家としても衝撃的だったと筆者は語る。
アパホテル(東京都港区)が2021年5月10日に創業50周年を迎えた。1971年に石川県金沢市で創業し、アパホテル1号店を金沢市に出店(84年)、その後の隆盛は説明すべくもないが、いまや日本を代表するホテルブランドとして圧倒的な知名度を誇る。ホテル業界がコロナ禍の影響を受け続け、業界全体として惨憺(さんたん)たる状況であることはここで改めて触れないが、20年11月期連結決算でアパグループが黒字を確保したという発表は、ホテル評論家としても衝撃的だった。
同決算では、グループ連結売上高904億3200万円(前期比34.1%減)、営業利益20億4400万円(同94.3%減)、経常利益10億900万円(同97.0%減)と対前期比で大幅な減収減益となったものの、純損益では9億4900万円の黒字を確保するという注目すべき内容であった。
19年11月期 | 20年11月期 | 前期比 | |
---|---|---|---|
売上高 | 137,156 | 90,432 | -34.1% |
営業利益 | 35,979 | 2,044 | -94.3% |
経常利益 | 33,547 | 1,009 | -97.0% |
当期純利益 | 21,193 | 949 | -95.5% |
(出所:アパホテル公式リリース) |
訪日外国人客の激減、緊急事態宣言発出が業績に大きく影響を与えるホテル一般の厳しい経営環境の中にあって、驚きと共にやはり“アパは違う”と再認識させられたニュースとなった。
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