コロナ禍でも黒字のアパホテル 常識破壊の”強さ”と悲願の10万室が生んだ“功罪”:創業50年(2/5 ページ)
アパホテルが2021年5月10日に創業50周年を迎えた。いまや日本を代表するホテルブランドとして圧倒的な知名度を誇る同社。コロナ禍の中、2020年11月期連結決算で黒字を確保したという発表は、ホテル評論家としても衝撃的だったと筆者は語る。
アパホテルはビジネスホテル?
アパホテルのネットワークは「全国最大665ホテル10万2708室」(21年5月19日プレスリリースより)。これはアパホテルの看板を掲げた施設に加え、パートナーホテルなども含んだ数字である。現在、首都圏・関西を中心にタワーホテル2棟・3764室を含む26棟・9947室を建築・設計中だという。25年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指している。
アパホテルといえば、“ビジネスホテルの代表格”という認識を持たれている方も多いかと思うが、近年ではビジネスホテルにとどまらず多角的な展開を見せている。そもそもビジネスホテルとは、宿泊に特化したホテルを指す。
一般的にホテルといえば、ダイニングレストランやバー、ウエディングや宴会など多彩なサービス提供を思い浮かべるが、こうしたホテルはシティーホテル(リゾートホテルもイメージできる)ともいわれ、業界では“フルサービスタイプ”といわれる。一方、ビジネスホテルは朝食の提供はあるものの“リミテッドサービス”という点が特徴だ。
確かに、アパホテルに宴会やウエディングというイメージはない。事実、以前筆者が出演したTBSの人気番組「マツコの知らない世界」のビジネスホテル特集では、アパホテルをビジネスホテルとして大きく紹介したことがある。
一方で、横浜みなとみらい地区に19年9月に開業した「アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉」は、ダイニングレストラン、バンケット施設、屋外プールやエステなどを擁しており、さながら都市型リゾートホテルとも表せる。
前述した定義に当てはめればこのアパホテルに限っては、「シティーホテル」あるいは「リゾートホテル」にカテゴライズできるだろう。また、地方で数少ないながらもリゾートホテルなどを運営しており、「アパホテル=ビジネスホテルブランド」というイメージは大きな間違いではないものの、総合的なホテルブランドへ進化しているという理解が正しいだろう。
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