高卒には「職業選択の自由」がない? 大卒より高卒の採用が難しい理由:相馬留美の「今そこにある商機」(3/6 ページ)
高校生向けの「就職合同説明会」をご存じだろうか。記者は現場に足を運んだところ、企業の話を聞くために、教師と制服姿の高校生がたくさんいたわけだが、そもそも高校生の就職はどのようにして決まるのだろうか。ちょっと調べると、過去の“遺産”が残っていて……。
高卒市場の問題点
厚労省の「新規学卒者の離職状況」によると、全国で高卒者は年間17万人前後だが、1年未満の離職者は最新の数字で16.2%(2019年3月卒)だ。景気の良い時期では1年未満の離職が2割を超えている。高校生が平等に就職機会を得られ、多くの高校生が内定を得ることができる仕組みとして生まれたルールではあるが、半面、高校生の自己選択を狭めたり、早期離職が多くなったりするといったデメリットも存在する。
「高校の場合、先生が紹介した企業に行かざるを得ない。その多くは製造業のブルーカラーです。実際にはIT企業やベンチャー企業、あるいは営業職などで引き合いは多いし、希望する高校生も多いのですが、そうしたところは学校と付き合いがない。そこでアンマッチが発生し、早期離職につながっている」とジンジブ社長の佐々木満秀さんは高卒市場の問題点を指摘する。
ジンジブは、企業と学校のやりとりをサポートしたり、高卒専用求人サイト「ジョブドラフトNavi」で情報提供を行ったりする「ジョブドラフト」というサービスを運営している。冒頭の合同説明会もそのサービスの一つだ。
ジョブドラフトNaviを使えば、今までは求人票すら見ることがなかったかもしれない生徒たちが、より多くの企業の募集情報を自分で探すことができる。また、自分が就職したい企業が見つかったとき、その求人票をダウンロードして学校にあっせんを依頼することや、ジョブドラフトNaviを通じた職場見学エントリーができるようになった。
もちろん学校あっせんの一人一社応募と違い、自由応募となれば選考を通らないケースも出てくる。それがリスクであると思えば、今まで通りの仕組みで就職すればいい。単純に学校あっせん以外の就職活動のルートができることは、高校生にとっては企業選択のチャンスが増えた、という理解が正しいだろう。
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