「中田翔システム」は企業の知恵なのか 問題社員は「新天地」に飛ばしてリセット:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
日本ハムから巨人に移籍した中田翔内野手にモヤモヤしている人も多いのでは。移籍後、すぐに一軍で活躍できたことに違和感を覚えたと思うが、こうした方法は会社でもできるのだろうか。結論から言うと「できる」。
モヤモヤしているプロ野球ファンも多いのではないか。
日本ハムファイターズ在籍時、暴行問題で無期限謹慎処分を受けていた中田翔内野手が、巨人にトレード移籍をした途端、すぐさまに試合に出場、特大ホームランを打ったのだ。
「本人も深く反省しているのだからいつまでもゴチャゴチャ言うな!」「最近の日本は失敗した人間を叩きすぎだ! 再チャレンジを応援しろ!」という声も聞こえてくるが、一般企業で暴力事件を起こせば数カ月の停職になることも多く、悪質な場合などは懲戒解雇につながることもある。
そんな“庶民ルール”は一流アスリートには適応されない、と言わんばかりの特別待遇に、「素直に応援できない」「しっかりと謹慎してから復帰すべき」という厳しい意見が相次いでいるのだ。例えば、お笑い芸人の有吉弘行さんもラジオ番組『SUNDAY NIGHT DREAMER』でこんな“皮肉”を述べている。
「(TKO)木下(隆行)さんも、ペットボトル投げつけた後すぐ太田プロ来ればよかったんだよな。すぐ出られるだろ。謹慎しなくても。宮迫(博之)さんとかもそうじゃないの? 闇営業して次の日、太田プロ来てたら、もう出れたじゃん。“中田翔システム”だったら。後輩ぶん殴っても、球団うつったら出れるって……」
ただ、芸能界の「問題人物は徹底的に干す」というほうがマイノリティーで、日本社会では「問題人物は新天地でリセット」という「中田翔システム」を採用している組織のほうが圧倒的に多い。
実際、サラリーマンの皆さんならば一度や二度、素行不良ながら仕事はデキる人が、何かやらかしてしまった際、重い処分をされることなく、転勤や異動でウヤムヤにされるケースを見たことがあるはずだ。
球団を移ったとはいえ、中田翔選手もこれと基本的な構造は変わらない。クビになったわけでもなければ、減俸になったわけでもない。無期限謹慎という処分も巨人に移った途端にチャラだ。プロ野球界という巨大組織で見れば、「不祥事を異動でウヤムヤにした」以外の何者でもない。
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