がんを経験した女性でも入れるがん保険登場 オンライン診療ベンチャーが開発した理由
オンライン診療サービスなどを手掛けるMICIN(マイシン)は8月25日、女性特有がん専用の「乳がん・子宮頸がん、子宮体がん再発保障保険」の販売を開始した。
オンライン診療サービスなどを手掛けるMICIN(マイシン)は8月25日、女性特有がん専用の「乳がん・子宮頸がん、子宮体がん再発保障保険」の販売を開始した。
がん保険のほとんどは、いちどがんに罹患してしまうと加入できず、保険の選択肢がないという状態だった。今回の保険では、がんの手術から6カ月が経過すれば申し込みが可能。Webサイトから10分で申し込める。
がんの再発、または新たながんが見つかったという診断を受けたときの給付金80万円や、死亡保険金(100万〜300万円)という保障内容。申し込めるのは、20歳から69歳までの女性で、初めてかかったがんが乳がん、子宮頸がん、子宮体がんのいずれかの人。
がんに罹患すると、保険に入れなくなる現状
「なぜ大きな病を乗り越えた人に生命保険を提供できないのか?」と、保険を提供するMICIN少額短期保険の笹本晃成社長は、この保険に至った問題意識を話す。
特に女性系がんを経験した人に多かったのが、「職場を退職した」「家族に迷惑をかけて申し訳ない」「抗がん剤が辛いけどご飯の支度をしなきゃ」「治療費用で家計に負担をかけて申し訳ない」といった言葉だったという。特に乳がんは、「ほかのがんは70〜80代になると目立つが、乳がんは40代後半に罹患のピークがある。会社の中枢でバリバリ働く年代、主婦として妻として母として家計を支える年代だ」(昭和大学医学部乳腺外科の中村清吾教授)と影響が大きい。
同社は、がん診断がついた時点からのデータを使い、リスク細分化により保険を実現した。また「治療技術の進歩で生存率が高まっている」(MICINの原聖吾社長)ことも、長い乳がんの治療過程でも保険に加入できるようになった理由だ。
同社のアンケートによると、がん罹患経験がある人でも加入できる生命保険や医療保険に対して、68.9%が「加入したい、興味がある」、54.5%が「加入意向あり」と回答したという。
今後は、そのほかの女性特有がんである卵巣がんはもちろん、胃がん、肺がんなどほかのがん腫にも広げていくほか、対応するステージも広げていきたいという。「生活習慣病は治療継続が重要。こうしたものにも対応していきたい」(原氏)
関連記事
- 「感染リスクの高い人に届けたい」――自宅療養でも即時給付、スマホで入れるコロナ保険登場
新型コロナウイルスにかかった場合の自宅療養でも、一時金10万円を保障する医療保険「コロナ助け合い保険」が登場する。スマホやWebから申し込むことができ、クレジットカード登録で即時保障が開始。利益が出た場合は、全額医療機関に寄付するという - 第一スマート、感染状況に応じて保険料が変動する「コロナminiサポほけん」
第一生命グループの第一スマート少額短期保険は4月7日、新型コロナウイルスの感染状況に応じて保険料が変動する新型の保険「コロナminiサポほけん」(正式名称:特定感染症保険)を4月9日から提供する。 - がんになった人の保険金を加入者が分担 P2P保険の「わりかん保険」が開始
インシュアテック事業を営むjustInCaseが、1月28日からP2P保険の「わりかん保険」の提供を開始した。これは、保険加入者の中からガンになった人が出たら、保険金を渡し、その費用を加入者全員で割って支払うという仕組みの保険だ。 - コロナ後も、来店よりオンライン希望 J.D.パワーが生命保険満足度ランキング
J.D.パワージャパンは、2021年生命保険契約満足度調査の結果を発表した。コロナ禍の中で、生命保険各社はオンライン面談を取り入れ始めている。その結果、コロナウイルス収束後もオンライン面談を希望する顧客は来店型を上回った。 - 「誰でも保険会社」になれる 証券に続き保険もプラットフォームへ
証券は大手の証券会社が売り、保険は保険会社が売るーー。そんな形が崩れ始めるかもしれない。FintechベンチャーのFinatextホールディングスが次に「プラットフォーム化」を進めるのは保険だ。あいおいニッセイ同和損害保険との業務提携を行い、保険にも異業種が低コストで参入できる仕組みを作り上げる。 - 大同生命とjustInCase、「コロナ助け合い保険」を2年間無償提供 中小企業勤務者向け
大同生命(大阪市西区)とjustInCase(東京都中央区)は、中小企業向けの「コロナ助け合い保険」の無償提供期間を2年間に延長した。1泊2日以上の入院に対し、入院一時金5万円を保障する。また、新型コロナウイルス感染時の自宅療養にも対応する。 - サービスに組み込めるキャンセル保険登場 コロナ禍を原因とするキャンセルも補償対象
Finatextと、あいおいニッセイ同和損害保険が出資するスマートプラス少額短期保険は7月19日、自社のサービスに組み込めるキャンセル保険の提供を開始した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.