2015年7月27日以前の記事
検索
連載

“パナの特許”と“世界ブランド”でイノベーション 2万円トースター誕生の裏側家電メーカー進化論(5/7 ページ)

千石の手掛ける「アラジン」のオーブントースターは、特許技術の高性能ヒーターとレトロなデザインを組み合わせて大ヒット。旧三洋電機の下請け工場として創業したが、今や家電製品の企画、開発、製造、販売まで一貫して行うメーカーだ。家電メーカーになるまでの経緯、今後についてを専務取締役の千石滋之氏に聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

アラジンが好調な今こそOEM事業に注力

 グラファイトヒーターを搭載したアラジンブランドのオーブントースターの成功は千石を大きく変えた。元々暖房器具向けに使われていたヒーターを調理家電に転用し、さらに有名な老舗ブランドの製品として仕立てた取り組みは特許庁からも高く評価され、令和3年度の知財功労賞を受賞している。

 「特許庁から、日本はたくさんの技術を保有しているのにイノベーションが起きにくいといわれました。我々は中小企業なので大きなイノベーションは起こせませんが、買収したアラジンというブランドと、パナソニックから買い受けたグラファイトヒーターを合わせて、トースターを商品化しました。のどかな場所にある中小企業が、既存技術を組み合わせた商品化を行った点が評価されたようです」(千石氏)


令和3年度に特許庁から受賞した知財功労賞。中小企業による、既存技術を組み合わせた商品化が評価されたという

 現在のラインアップはカラーバリエーションを除いて、トースターが3モデル、グリラーが2モデル。そして実はこれ以外にもカセットガスを使うホットプレートや七輪のようなコンロなど、さまざまな製品を展開している。

 「この春発表したご飯も炊けるトースターは、チャンピオン商品を作りたいと考えた製品です。トースターを極めたい、そのためにあらゆる可能性を追求しようとマルチな調理ができるトースターを開発しました。

 また、同時に発表したポップアップ型は、逆にトーストの美味しさに完全に集中した商品として企画しました。今後はトースターを軸にした生活空間を提案できたらと考えています」(千石氏)


今年4月に発表されたフラグシップモデルの「アラジン グラファイト グリル&トースター CATGP14A」。調理用のグリル皿に加えて炊飯釜も付属する

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る