莫大なカネを生む「カジノ」が、日本で“オワコン”になった3つの理由:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
日本のカジノに逆風が吹いている。菅義偉首相のお膝元で、大本命とされていた「横浜カジノ」が完全消滅しただけでなく、この動きは他の候補地にも広がろうとしている。反カジノ派の声が強くなれば、どうなるのかというと……。
政治家が主導する巨大ビジネス
筆者はもともと、観光戦略の一環としてIRに賛成していたが、横浜カジノに関しては「ない」と考えていた。首都圏はIRをつくらなくても十分、外国人観光客が来ていた。だから「東京―富士山―大阪」といういわゆる「ゴールデンルート」以外に誘客するため、北海道、東北、九州などにリゾート型IRをつくるのが筋だと考えていたからだ。
また、官房長官(当時)のお膝元にこんな巨大利権を持ってくるなどあり得ないと思った。IR誘致合戦は通常、カネや接待が飛び交う。それを自分の地元でやれば必ず悪い話が飛び出る。そうなれば地盤も危うくなるし、政権のリスクになる。そんな愚かなことは、抜け目のない菅氏はしないと考えていたのだ。
しかし、そのような考えを述べるたびに、横浜の経済界、シンクタンクの研究員、メガバンクの担当者、マスコミ記者から冷笑された。
「あれ? ご存じないんですか? もうカジノは横浜で決まったんですよ、100%です」
なんて諭すように言われたものだ。IR推進法が通った時点で、「横浜は決まり、もう覆りません」と断言した人もいた。それほどIRは政治とズブズブのものなのだ。ただ、ズブズブがゆえ政治が力を失えば、いとも簡単に崩壊する。どれほど多くのカネを突っ込んで、どんなに根回しをしても、「政変」が起きれば、ちゃぶ台返しをされてしまうのだ。
こんな不安定で、政治家と心中をしなくてはいけない古臭い利権ビジネスはオワコン以外の何者でもない。
今のところ、安泰そうなのは大阪だが、このようなIRの政治リスクはいつ起きてもおかしくはない。そう考えていくと、実は一番オワコンなのは、IRではなく、政治家が主導する巨大ビジネスなのかもしれない。その最たるものが、実はオリンピックだ。
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