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莫大なカネを生む「カジノ」が、日本で“オワコン”になった3つの理由スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

日本のカジノに逆風が吹いている。菅義偉首相のお膝元で、大本命とされていた「横浜カジノ」が完全消滅しただけでなく、この動きは他の候補地にも広がろうとしている。反カジノ派の声が強くなれば、どうなるのかというと……。

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幻想から目を覚ますとき

 誘致が決まったころ、「東京2020で日本経済復活!」「1964年の再現だ」と大はしゃぎをしていたが、フタを開ければ、日本経済はガタガタで、増えたのはコロナの感染者だけだ。

 実はこれは1964年のときも同じだった。マスコミが「歴史修正」をして、「東京五輪をきっかけに日本経済は成長した」みたいなストーリーが定着しているが、これは真っ赤なうそで、現実は五輪直後から不況に陥っている。赤字国債もこのタイミングから発行しており、日本経済を長くむしばむ構造的な問題がスタートしたタイミングでもあるのだ。


日本のカジノに行きたい、行きたくない理由(出典:日本カジノ研究所、2019年11月調査)

 巨大な公共事業、巨大な国家的イベントを政治家が仕掛けるたびに、「これを経済の起爆剤に!」とかいうが、実はこれまで一つも成功していない。マスコミが「感動をありがとう」とか騒いでしっかりと検証をしないが、実は社会へのマイナスのほうが多いのだ。

 そろそろ日本人も、「IRをインバウンドの起爆剤に」「オリンピックや万博で経済成長!」というハコモノやイベントの打ち上げ花火的経済成長の幻想から目を覚ますときかもしれない。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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