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コンビニの攻勢で菓子店が減っているのに「シャトレーゼ」は大躍進 コロナ禍で発揮した強みとは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
菓子チェーン「シャトレーゼ」の業績が好調だ。新たに展開したプレミアムブランド「YATSUDOKI(ヤツドキ)」も貢献する。少子化やコンビニの攻勢といった“逆風”を跳ね返している要因は?
白州工場で躍進
同社がここまでの発展を遂げたのは、1994年に完成した主力工場である白州工場(山梨県北杜市)が大きく寄与している。しかも、工場から店舗へと製品を直送することで、低価格を実現した。製造と小売が一体となった、アパレルの「ユニクロ」「ギャップ」「ザラ」のようなユニークな“ファームファクトリー”と呼ばれるビジネスモデルだ。
白州は、サントリーが「南アルプス天然水」をくんでいることから分かるように、水どころであり、硬度の低い軟水で菓子製造に最適である。同社の他の山梨県内にある2つの工場にも、白州から水を運んでいる。
雑味のないアイスをつくったり、まろやかなあんこを製造するために小豆を洗ったり煮たりするにも、水のよしあしが影響する。他の素材が同じでも、製品の出来に大差が出てしまうのだ。シャトレーゼは、1954年に山梨県甲府市で今川焼風の焼菓子の店としてスタートしている。今川焼は夏にあまり売れないからアイスも売るようになった。そこから、洋菓子中心の現在の業態に発展した。だから、水の品質には徹底的にこだわってきた。
牛乳や卵は、八ヶ岳エリアの契約農家から新鮮な状態で仕入れている。水だけでなく、菓子づくりに適した環境が八ヶ岳エリアにはある。従来のシャトレーゼも八ヶ岳の恵みを存分に受けた業態であるが、ヤツドキではより鮮明に打ち出したというわけだ。
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