コンビニの攻勢で菓子店が減っているのに「シャトレーゼ」は大躍進 コロナ禍で発揮した強みとは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
菓子チェーン「シャトレーゼ」の業績が好調だ。新たに展開したプレミアムブランド「YATSUDOKI(ヤツドキ)」も貢献する。少子化やコンビニの攻勢といった“逆風”を跳ね返している要因は?
亀屋万年堂を買収した狙い
このように好調なシャトレーゼであるが、驚いたのは今年1月に発表された老舗和菓子店「亀屋万年堂」の買収だ。
ソフトカステラの生地にクリームを挟んだ「ナボナ」で知られる、亀屋万年堂は1938年(昭和13年)の創業だ。東京都と神奈川県に約30店の直営店を展開している。63年には、王貞治氏をCMに起用した「ナボナはお菓子のホームラン王です」のキャッチフレーズで一躍有名になった。巨人軍でプレーしていた国松彰氏が亀屋万年堂の社長の娘と結婚していて、のちに国松氏が社長に就任している。このような縁で、王氏のCM出演に結びついた。
買収したのはシャトレーゼHDであり、「シャトレーゼと亀屋万年堂は、グループの中において並列」(同社・広報)と強調する。
買収した理由と背景については、「亀屋万年堂は和菓子の老舗なので、日本が誇る和菓子の領域において、今後の世界市場の拡大を見据え、販売ノウハウの共有を通して、グループとしての総合力をさらに上げていきたいと考えた」(同)としている。
つまり、和食が世界でブームになっているが、和菓子にも勝機があると考えた。世界戦略を見据えての買収であり、シャトレーゼグループの亀屋万年堂への期待の大きさが伝わってくる。今後、日本はさらに高齢化していくので、和菓子の強いブランドも必要との狙いもある。
亀屋万年堂がグループの傘下に入ったあとの動きとしては、シャトレーゼが得意とする生菓子を売場に導入。看板商品であるナボナの改良が現在進行中だ。
例えば、亀屋万年堂は期間限定で、「シャインマスカット大福」を販売している(9月12日まで)。これは、シャトレーゼと亀屋万年堂の強みが融合した感じがする商品だ。大粒の国産シャインマスカットを厳選し、甘さ控えめの白あんと柔らかい餅生地で、一粒丸ごと包み込んでいる。
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