DX時代、文系職種がAI、ディープラーニングを学ぶべき理由:2つの理由(1/3 ページ)
AI技術が急速に進化し、「AIをどのように使いこなすか」が求められるようになっています。ではAIを使いこなすのは、特定の職種だけよいのかというと、そうではありません。なぜかというと……?
この記事について
DXに取り組む企業が増える中、AIやディープラーニングを学ぶ人も増えている。AIベンチャーや有識者などから構成される「日本ディープラーニング協会」の「G検定」(ジェネラリスト検定)の受験者は、2017年から約3年半で累計5万人を突破。最も多い受験者は研究・開発職だが、営業・販売職や企画・マーケティング、経営企画など、いわゆる文系職種の受験者も多くみられるという。
いま、文系職種の人たちがAIやディープラーニングを学ぶ背景には何があるのか。学ぶことで、どのようなメリットがあるのか。日本ディープラーニング協会の野口竜司氏(人材育成委員メンバー)による寄稿。
なぜ、文系職種でもAIを学ぶ必要があるのか
AIと聞くと、皆さんはどのようなことを想像されるでしょうか。人工知能という未知のモノへの恐怖から、何となく不安、職を奪われるなど、ネガティブイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
一方、暮らしを豊かにするというポジティブなイメージを持つ人もいらっしゃるでしょう。例えば、サービスの使い方について問い合わせると、自動でメッセージが返信される。スマートフォンに「○○を検索して」と呼び掛けると、探したいものを表示してくれる。このように、AIは既に私たちの生活に当たり前のように入り込んできています。
AI技術はこの半年間で急速に進化しました。大規模言語モデルといって、簡単な現代文のような問題ならば解けるようになりました。これから、さらに生活に密着していくことが容易に想像されます。私たちはAIから逃れることはできないのです。
こうした中、AIの世界では、課題が変化してきています。4〜5年前までは、理数系や技術系の「AIを作る」人材の不足が叫ばれてきました。しかし「AIを作る」側の経験者は増え、教育環境が整ってきたこともあり、AIの構築環境が発展。以前よりも作ることそのもののハードルは下がっています。
今は、AIを新たに作る必要があるのかを見極めたり、業務プロセスやサービスへの組み込み方を検討したりといった、「AIをどのように使いこなすか」が求められるようになっているのです。
では、AIを使いこなすのは、特定の職種だけよいのか。そうではありません。例えば、新規事業を担当する人であれば、以前はインターネットの台頭で、ネット活用によるイノベーションが求められました。今はAIやデータを活用した事業変革や社内改革が必要とされています。マーケティングでは、従来は一部のデータや経験則により意思決定していましたが、今は顧客の行動予測などAIの活用で予測の精度が高度化してきています。
このようにあらゆる職種、しかも文系職種で、AIの活用が広がってきている。だからこそ、文系職種の人材も、AIの基礎を学ぶ必要があるのです。
関連記事
- Amazonもハマった、「AIを使うとき」の落とし穴
AI時代、マーケターはどのようにスキルを学んでいけば良いのだろうか。Amazon.comやある旅行会社の事例をヒントに、AIを導入・活用する際の留意点を紹介する。 - 「半分青い」ヤクルトを、どう売ったのか 認知度が低くても、営業マンがスーパーを口説き落とせた理由
ヤクルトの営業マンには、悩みがあった。スーパーやコンビニの担当者に「ヤクルト商品をまとめて配置しましょう」と提案しても、「自社製品を売らんとするセールストークなのだろう」と勘繰られてしまい、なかなか説得力のある提案ができていなかった。どう説得したのか。 - 「売れなかった」ハムサンド、カメラ50台で真相解明 高輪GW駅「無人決済コンビニ」の実力
高輪ゲートウェイ駅にオープンした無人コンビニ店舗「TOUCH TO GO」。無人化によるコスト削減に注目が集まる一方、データ活用という点でも大きな可能性を秘めている。約50台のカメラ映像を分析し「POS端末では分からなかったこと」が見えてきた。 - 【解説】ウォルマートのIoTは、何がすごいのか
ウォルマートの業績が好調だ。背景にはIoT活用があるという。同社のIoT戦略や運用の何がすごいのか、またコロナ禍でどのようなことに役立ったのか。解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.