社員の「心」と「体」をどう守る 総務が考えるべき「健康経営」のカギ:「総務」から会社を変える(1/4 ページ)
昨今話題の「健康経営」だが、コロナ禍で社員の健康に危機が迫っている。果たして、総務としてどうすればいいのか。
今回は、テーマを健康経営に定めたい。そのためには足元である、コロナ禍の状況を確認するところから始めようと思う。
引き続き、多くの都道府県で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発出されている。感染状況、東京都は減少傾向にありつつも、医療を逼迫(ひっぱく)させる重傷者の数は過去最高を更新していおり「災害級」の事態は当面収まりそうもない。
また、ここにきて、ワクチンの確保数が足りず、職域接種が多くの会場で中止や延期となっている。感染力の強い、そして重症化しやすいとされるデルタ株のまん延により、集団免疫の獲得で感染拡大が収束していくというシナリオも描きづらくなった。一部によれば、集団免疫の獲得には、全国民の9割以上がワクチン接種、または一度感染しなければならないという数字も出ているようだ。
国際的に見ても、多くの国では自国民の70%ほどがワクチン接種を完了すると、そこから先になかなか数字が伸びていかない「壁」が存在しているように見受けられる。日本においても、これから先、どうやってワクチン接種率を伸ばしていくのか、相当の難題だといえる。
このような状況の中で、そもそも「アフターコロナ」といえる時代は到来するのか。多くの科学者の間では、新型コロナウイルス感染症は「風土病化」する、そういわれている。いわゆる「パンデミック」から「エンデミック」の状態となるということだ。インフルエンザのように、寒くなってくるとコロナが流行し出す。製薬会社では、インフルエンザとコロナの両方へ、1回打てば対応できるワクチンの開発も進められているという。世界は「アフターコロナ」ではなく「ウィズコロナ」に向けて動き出しているのだ。
GAFAも、デルタ株のまん延により、出社して働くタイミングを2022年にまで延ばし始めた。ただ「出社」といっても、今後はリモートワークも含めた、ハイブリッドなワークスタイルとが主流となっていくことは間違いない。
一方で、働く場が分散されることにより、コロナ禍の当初に課題視されていた「コミュケーション」もさることながら、従業員の健康管理も、ここにきて大きく問題視されている。コロナ禍が到来する以前から「健康経営」は経営の大きなテーマとなっていたが、顔が見えなくなった社員の健康管理は、これまで以上に難しく、そして重要になってきている。
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