社員の「心」と「体」をどう守る 総務が考えるべき「健康経営」のカギ:「総務」から会社を変える(2/4 ページ)
昨今話題の「健康経営」だが、コロナ禍で社員の健康に危機が迫っている。果たして、総務としてどうすればいいのか。
ここでいま一度、健康経営について確認してみよう。「健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取り組みが、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」と定義されている。
いわずもがなだが、健康経営のメリットは、従業員の健康維持へ投資することで健康促進がされることにある。そして当然ながら、社員が健康な方が生産性が向上し、健康経営銘柄、あるいはホワイト500としての認証取得がされていれば、企業のイメージアップも図れる。その結果、求職者の増加や既存従業員の定着も見込め、離職率の低減、さらには、社会保険料の負担軽減にもつながる。生産性の向上、そして関係する費用の低減を実現できれば、収益が上がり、それを原資にして、さらなる健康維持への投資もできるだろう。
多くの企業がこうした好循環をモデルケースに健康経営の整備を進めてきたが、コロナ禍によって、悪影響が表れている。
例えば、健康経営の一丁目一番地が、定期健康診断だ。健康状態が把握できないと、対処のしようがないし、早期発見・早期治療ができない。そうなると、健康状態が悪化し、休業や退職といった事態が生じるかもしれない。この定期健康診断が、コロナ禍によって難しくなった。テレワークで社員が点在する状況では、オフィスで従来実施していた出張健康診断も難しい。施策の基本となる「データ」、つまり従業員の健康状態の把握ができなければ、健康経営は当然難しい。その他、定期的に行っている産業医との面談なども実施困難となっている。
コロナ禍が助長する「不健康」
さらに、コロナ禍が不健康を助長する事態も起きている。
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