“はがれにくい”けど“はがしやすい” なぜ業界トップのアヲハタは2年かけて「のり」を開発したのか:3分インタビュー(3/3 ページ)
アヲハタジャムのラベルが剥がしやすいらしい。なぜ?
たかがのり、されどのり
――他にも容器でこだわっている点はあるのでしょうか。例えば、最近は飲料業界を中心に「ラベルレス」の取り組みも進んでいますが、ジャムメーカーでも導入できないのでしょうか。
松木: はがしやすさ以外の使い勝手でいうと「開けやすさ」ですね。びんを握りやすくして、キャップを開ける力をできるだけ小さくする工夫をしています。そういった意味では、びんの形状や材質にもこだわっています。
ラベルレス化はもちろん技術的にできないことはありません。ただ、飲料製品の場合は賞味期限などの表記をシールで貼ったり、ダンボールに記載したりしていますよね。現状の売り場やお客さまがジャム製品に求めている荷姿を考えたときに、その形で商品を展開するのはまだハードルが高いかと考えています。
藤原: また、一人暮らしの人が増えたこともあり「150グラムの商品を使いきれないよ」といった声もあがっています。そこで、1回使いきりタイプの商品も展開しています。
松木: あの、実は早めに言った方がいいのかもしれないですが……。
――何でしょうか?
松木: 開発した理由として分別の話をあげましたが、そもそもゴミ出し時にラベルをはがさないといけないかというと、ちょっとグレーなんですよね。
(全国清涼飲料連合会によると、ガラスびんは、リサイクル時に1500度の高温で溶かすため、取りにくいラベルはそのままで良いとしている)
いや、実態はそうなのですが、2000年当時は分別がすごくキーワードになっていたため、「ラベルをはがす」ことが日本人の習慣となっていた部分もあるのかもしれません。
藤原: はがしやすいのりを導入したことが、売り上げに直接どれくらい影響しているのかは正直分かりません。しかし、多くのお客さまからお褒めの言葉をいただいていて、これまであった「はがれにくい」「キャップが開けにくい」といったご指摘が減っている点が私たちの励みになっています。
(終わり)
関連記事
- なぜサントリーは、抹茶ラテを「伊右衛門」ではなく「クラフトボス」から発売するのか
サントリー食品インターナショナルが展開する「クラフトボス」に新たなラインアップが加わる。8月17日に発売する「抹茶ラテ」だ。 - 好きな時間にサウナを独り占め 24時間営業の「個室サウナ」ができた理由
兵庫県にある24時間営業で月額制のプライベートサウナが話題となっている。好きな時間に密を避けた状態でサウナを楽しめる施設が2021年冬に東京と岡山に出店する。 - 発売2年で10万個! 精密部品メーカーがポケモンの「モンスターボール 虫かご」を製造した理由
「ゲットだぜっ!」とつい叫びたくなる虫かごが人気を集めている。精密部品メーカーのキャステムが製造販売する「モンスターボール 虫かご」だ。なぜ、精密部品の会社が虫かごの製造に乗り出したのか、製造元に話を聞いた。 - 売り切れ続出の「ファミマソックス」はなぜ誕生したのか 目指したのは“雨でぬれた時に買う”商品からの脱却
今、若者の間で「ファミマの靴下」が売れている。ファミリーマートが展開する「コンビニエンスウェア」の一つ、「ラインソックス」だ。なぜファミマは衣料品の展開に力を入れたのだろうか。 - なぜ洋服の青山は、スナックのママを“AI化”したのか
青山商事が、スナックのママを“AI化”した悩み相談チャットボットサービス「AIチャットボット スナックママ『よしこ』」を公式Webサイトで公開した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.