日本端子に学ぶ、中国進出企業はネットで叩かれないため何をすべきか:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
「日本端子」が叩かれている。同社はコネクタや圧着端子の製造販売をしていて、河野太郎氏が株を保有し、弟・二郎氏が社長を務めている。そのため、ネット上では批判が殺到していて……。
自社を守る情報発信
このあたりは、実はB2B企業が最も苦手とすることだ。自分たち自身も、そして顧客が分かりきっていることを、あえてしっかりと外部に説明をする意義もないし、メリットもない。だから、BtoB企業のWebサイトは情報量が圧倒的に少ないのだ。
平時はそれで問題がない。B2B企業のWebサイトなど訪れる人は限られている。しかし、何かのきっかけで注目が集まって炎上した際に、その「情報不足」が致命傷となる。「中国共産党とズブズブに違いない」といった先入観をもった人たちが、情報量の少ないサイトから都合のいい説明、キーワードを断片的に抜き出し、自由に想像をしながら「ストーリー」を組み立てられるからだ。
つまり、自社のWebサイトに正確な情報を細かく掲載しておくことは、事実無根の誹謗中傷などを未然に防ぐ危機管理でもあるのだ。
これから中国への風当たりはさらに強くなるので、日本端子のような「疑惑」を囁かれる企業もは増えていくだろう。デマや風説は情報のないところに生まれる、ということを肝に銘じて、自社を守る情報発信をしていただきたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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