台頭するハイボールやレモンサワー サントリーは「ビール」をどう売っていくのか:仕掛け人を直撃(3/3 ページ)
今年4月にサントリーが発売した「パーフェクトサントリービール」。発売から3カ月で年間計画の5割を達成する好調な滑り出しを見せている。一方で、消費者の好みが多様化しているが、同社はビールをどのように売ろうとしているのか。
創業以来のチャレンジ精神でビールの可能性を追求
これまで、メーカーのこだわりを伝えるツールとして活用されてきたのがビール工場見学だ。しかし現在、コロナ禍の影響で受け入れは困難な状況にある。
そこでサントリーが今年3月にリリースしたのが「冒険型ビール工場体験 BEER iLAND(ビアアイランド)」だ。
リアルが無理ならオンラインで工場見学をしてもらおう。でも、単にリアルを置き換えるだけでは面白くない。ならば、オンラインならではの体験価値を提供しよう。
ビアランドは、Webブラウザ上で遊べるロールプレイング形式のゲームだ。
主人公は「サントリー島」を訪れた旅人。新しいビールを作るというブルワリーにたどり着き、多くの人と出会いながらビールづくりを手伝う。
「麦を集めるところから段階を追って、ビールづくりをゲームとして体験していただくことで、われわれが何を考え、何をしているかを楽しみながら理解していただけると思います」(稲垣氏)
それにしても、ビール工場見学の代わりにゲームを作るというのは、さすがは「やってみなはれ」のサントリーというべきか。
「ぬるま湯に浸かっていてはいけない、というのは創業者以来のカルチャーです。だから『挑戦しないのは悪』という共通認識があります。
そして『会議で発言しないなら、いなくていい』『情熱がないなら担当を外れてくれていい』という厳しさがある代わりに、誰かが『やりたい』と言ったら、それを周りがサポートしてくれます。5年かけて発売にこぎつけたパーフェクトサントリービールがいい例でしょう」(稲垣氏)
稲垣氏がサントリーに入社したのは、酒とかかわる仕事がしたかったのが理由だという。
「私自身、お酒が大好きです。お酒はちょっといいことがあったとき、ちょっと残念なことがあったとき、あるいは人生の節目など、感情が揺れ動くときに寄り添ってくれる特別な存在です。
いろいろな酒類が元気ななか、ビールはちょっとポジションが下がってきているものの、まだまだ日本ではお酒の中心にいます。
お客さまの感情が揺れ動くとき、ぜひサントリーのビールを手に取ってほしい。機能だけでもなく、味だけでもなく、ビールの可能性にまだまだ挑戦し続けたいと思います」(稲垣氏)
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